日々雑録

ブツネタ451「彩色不動明王座像★完成」

2020/09/20(日) ブツネタ

 

5月に ★彫りあがりました☆72 でご紹介した不動明王座像。

その後、下地、漆塗り、金箔押し、彩色の工程を経て完成に至り、

先だって無事に納入させて頂きました。

 

今回は、彫刻完成後、完成に至るまでをご紹介したいと思います。

 

こちらは、彫り上がりの画像です。

 

さて、今回のお不動さんは日蓮宗寺院の本堂に祀られます。

須弥壇上には、三宝尊、四菩薩、四天王、日蓮聖人が祀られていて、

今回、新たなに不動明王が加わります。

 

将来的に、愛染明王も考えておられるので、お姿は座像とし、

安置する場所は、須弥壇上でも高欄の後ろ側となり隠れてしまうので、

岩座丈を上限いっぱいまで高く製作することにしました。

 

 

では、彫り上がり以降の工程をご紹介します。

彫りあがった不動さんは、まず塗師やの手に渡ります。

 

まずは、接合ぶを薬研に彫りこんで、漆と木粉をまぜたコクソを充填。

 

その上から、糊漆で和紙を張ります。

 

そのあと、生漆を全体的に摺りこんでいきます。


これを木地堅めといいます。

 

ここまで、漆が要所に登場しますが、

コクソと和紙張りに関しては、接着剤として。

木地堅めは木の補強として使用しています。

 

これらの工程は、仕上ってしまえば、

やったかやっていないか わからない工程です。

じゃあ、なぜこの工程を行うのか。

 

樹脂や金属と違って、木は乾燥や湿気で、痩せたり膨張を繰り返します。

その結果、接合部がわずかですが開いたり、ずれたりすることがあります。

木の上から下地の層を盛っているわけですから、

下地に亀裂が生じたり、将来的に欠落することも大いに有り得ます。

 

そういった対策のために、

コクソや紙張り、木地堅めという工程を施すわけです。

また、画像はありませんが、像の底には布(寒冷紗)を張っています。

和紙よりも強度は上がります。

ただ、これで100%大丈夫なわけではありませんが、

あくまで最善を尽くすということです。

 

さてそのあとは、今回は極彩色で仕上げるため、胡粉と膠による白地で仕上げます。

白地を塗り、研ぎあがった状態です。

膠と胡粉による白地とわざわざ明記していますが、それには訳がありまして、

この下地は昔ながらの伝統的な工法で、

後世の修復において、下地を除去することが可能です。

100年後、200年後の仏像やその台座の修復をさせて頂いておりますが、

その多くはこの膠による下地がされているので、きれいに修復することが可能です。

 

膠というのは、動物の骨や皮から抽出したゼラチンを主成分とした物質で、

これに胡粉と水を混ぜて下地を作りますが、その作り方や配分などは経験が必要です。

 

ただ、近年では、そういった手間が不要で安価な、人工的な材料が存在します。

後の工程も難なく仕上がるそうです。

ただ、この下地。除去することが困難で、

私としては後世の修復においてはリスクとしか考えられず、その選択肢はなく、

仏像や木彫刻においては、膠下地が最良であると考えています。

 

 

話を戻しまして、

白地が完成した後は、部分的に漆を塗ります。

今回は極彩色仕上げになりますが、彩色と言っても、部分的に金箔を使用します。

白地の上から直接金箔を押す場合もありますが、

漆の塗膜のうえに金箔を押すほうが、艶が出て箔が生きます。

その大きさやモノによりますが、弊社の好み、拘りです。

 

 

 

そして、ようやく彩色の工程です。

彩色において、内容は一任頂いたのですが、

一つだけご注文があり、このエメラルドグリーンの色を入れて欲しいと

ご寺庭さまからご依頼頂きました。

青不動を、エメグリ不動にするという案もありましたが!?

衣の一部に使用してみることにしました。

 

エメグリ候補は3つ。

左は天然緑青。 中央と右は新岩緑青。

新岩とは人工的に作られた岩絵の具のこと。

人工でも高価です。弊社も人工のほうがよく使います。

天然なんて目を剥きます。

でも今回は特別に天然で☆

 

膠水で溶いて、

宝相華文様に挿しました。

 

 

そしていよいよ完成です。

 

いかがでしょうか。

完成度の高いお不動さんに仕上がりました。

完成度を上げるためには、要所でポイントがあり、

やはり、彫りあがった状態から下地を仕上げるまでに、

いかにイメージを損なわないか が大事になってきます。

その中で、正直でまともな工法でやり続けることは自信にも繋がります。

 

良きご縁に感謝。

 

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