日々雑録
ブツネタ492「既存両大師像、活かしながらグレードアップ」
以前、阿弥陀三尊を製作させて頂いたお客様から、
今春に年忌法要があるので、既存の浄土宗両大師像のご相談を受けました。
丁度、今年は立教開宗850年となる記念すべき年。
法然さんが浄土宗を開かれて850年目にあたる年です。
施主様は、浄土宗総本山知恩院での850年の慶讃法要に、
泊まり込みでお手伝いに行かれ、
また私自身も、西山浄土宗総本山光明寺様の
850年の記念事業の仏具の修繕で、足繁くお寺に通っていまして
先日納入が完了したところ。
施主様と私、双方が850年の法要で東奔西走している中で、
今回のお仕事をさせて頂きました。
こちらは施主様から送って頂いた知恩院での慶讃法要中の写真
こちらは、慶讃法要中の光明寺(用達会のお手伝いで)
話は本題に入りまして、
数年前に、ご本尊の阿弥陀如来像を修繕、
観音勢至菩薩を新たに造仏させて頂き、仏壇内に阿弥陀三尊として安置させて頂きました。
その阿弥陀三尊の両脇には、両大師像が立たれていらしゃいましたが、
善導大師さんの衣は、半金色の表現がされず、
パステル調の明るい彩色がされていて、
光背は金泥が塗られ、蓮華は彩色が施されているなか、
台座は木地のままの状態でした。
その辺りを気にされて、既存のお像の改造のご依頼を頂くことになりました。
阿弥陀三尊は漆箔で納めさせて頂いているので、
台座だけが木地というのは違和感があります。
本来であれば、同様に漆箔で仕上げたいところですが、
接着剤でがっつり固定されており、解体は困難。
組んだままでの塗りの作業はきれいには仕上がらないので、
金泥で金を表現することにしました。
両大師像は、薄く下地を入れて彩色をし直すのですが、
手の彫刻の省略加減が気になったので、
両手は取替えさせて頂く運びとなりました。
両手を切り離して、新たな両手を彫り出しました。
雰囲気を変えないために、あくまで両手のみの取替えです。
あと、
両大師に付いていた光背(輪光)ですが、
善導大師側には、吹き出し仏とみられる彫刻が付いていましたが、
昔作った吹き出し仏が残っていましたので、
こちらに取替えさせて頂くことにしました。
光背とお像には、
胡粉下地の上、漆を塗って、
善導さんには、金箔を押し、
墨染の彩色にて仕上げました。
現状のお像を活かしながら、出来る限りの改造で
他のお像との調和を図りました。