日々雑録
仏壇修理の話8『京仏壇(板内2尺5寸/浄土)』
さて、前回・前々回のブツネタでは、仏具の修理事例をご紹介しましたが、
今回は、その仏具が納まるお仏壇の修復のお話です。
こちらが、そのお仏壇。
純然たる京仏壇。
ほどよい傷み具合とでも申しましょうか。
直し甲斐があって、お客様にも必ず喜んで頂ける!そんなお仏壇。
今回は、途中の工程を幾つかご紹介してから
修復前と修復後の比較を楽しんで頂きます。
こちらは、木地修理後。
反ってしまった部位など、取り替える箇所が必ず出てきます。
雨戸(大戸)もその対象になることが多いです。
こちらは、この仏壇に付いていた金具の一部。
正直、いいなぁ~と思える金具とは思いませんが、
今では貴重な技術となった“地彫り”金具。
もしこれが、電鋳金具であれば取替えも検討したところでしたが、
地彫り金具ということで、再利用することに。
さて次に、こちらは塗師屋(漆塗り)の工房。
こちらは塗り場。
こちらが室(むろ)になります。
漆を塗り上げたパーツを、こちらで乾燥させます。
漆が塗り上がったパーツは、
蝋色師の手に渡り、箔押師の手に渡り、
またその後に、彩色師、蒔絵師の手に渡り。
そして、最終金具を打ち、組み立ててどうなったかをこれからご紹介します。
修理前⇒修理後の順で出していきます。
①雨戸を閉めた全体写真
②雨戸の金具
③障子を閉めた全体写真
④障子部分
⑤障子の金具
⑥障子の腰の蒔絵
図案は変更しました。
⑦欄間(前狭間)
欠損箇所を補作しました。
⑧障子を開けた全体写真
⑧内部宮殿
⑨宮殿虹梁下の彫刻
オリジナルは無理に付け足した感が否めないが、今回の修復を機に・・
⑩内部その他
比較写真は以上です。
このお仏壇に、他に修理した仏具と、
新しく誂えた弊社オリジナルの位牌。
そして、ご本尊はお身拭いのみですが、
新しく誂えた、台座と光背。
蓮華は截金入り。
獅子は岩彩色。
お仏壇の割に、ご本尊が小振りのため、
出来る限り丈の高い台座を製作しました。
そして、全ての仏具を納め、
このように無事に納まりました。
先々代が作られたお仏壇。
50年程の時を経て、この度の修復のご依頼でした。
後世に引き継ぐこともこのご時勢、なかなか困難なことも多いですが、
このように修理して残される、いや伝えるご選択を
選ばれる方ももちろん多くおられます。
こういった修復のお仕事は、我々にとって
いちばんやりがいのあるお仕事のひとつです。