日々雑録
ブツネタ441「御伝鈔卓(西派)の製作」
2019/09/21(土)
ブツネタ
本願寺派の御伝鈔卓(ごでんしょうじょく)の製作のご依頼を頂きました。
御伝鈔卓、かなり久々です。
どこのお寺でもお持ちという訳ではないので、少々レアなお仏具です。
少し前にお東の御伝鈔卓を製作させて頂きました。
ちなみに大谷派の御伝鈔卓はこちら。
今回は、お西、本願寺派の御伝鈔卓です。
こちらは木地。
お東とでは対照的な、シンプルで軽量化された卓です。
二股に分かれた板足に天板が付き、天板の下場に幕板が付きます。
この板足をみてると、2歳に満たない頃の我が子を思い出します。
ムチムチの脚に脂肪だらけのオシリ。
可愛さ溢れる西の御伝鈔卓。
この卓のポイントは、まずは総金箔であるということ。
総金箔ですから、京都で仕上げる価値がぐぅぅぅ~んと上がります。
やはり、地方製との違いが歴然なのは金箔押しの美しさ。
同じ縁付の1号箔を使用していても、その仕上がりには大きな差があります。
さらに今回は、グレードを上げて、総すりあげ仕上げにしました。
漆を塗り上げた後に、
塗面を平滑にするために炭砥ぎし、生漆を摺りこみ、
金箔を押す前の塗面の地ならしを、1工程増やしました。
いわゆる、蝋色師さんのお仕事を増やしている訳です。
これにより、より上の金箔仕上げになるわけです。
また、総金箔の卓ですから、
面には朱漆を挿して(塗って)おります。
くどくならない程度に面に朱を挿すのは、非常に効果的です。
そして、もう一つのポイントは、板足に付く彫刻。
今回、ご指定を頂き、「桔梗」の彫刻を付けることになりました。
小さな彫刻ですが、
総金箔の中では存在感を出さないといけません。
こちらの彫刻は、漆箔で仕上げて、箔彩色で仕上げました。
完成がこちらになります。
上品な感じで。
両面で、桔梗の花の色を変えてみました。
出来る範囲での遊び心ですね。
オシリに付く桔梗の彫刻。
花柄畑でインプットです。(言いたくなっただけです)
金具も付かないシンプルな机ですので、
余計なことをするとその良さが消えてしまいます。
ただただシンプルに、出来ることを最大限やった感じです。