日々雑録
ブツネタ480「木製(栃材)の骨壺製作」
最近、骨壺のご依頼を受けることが増えました。
需要が増えているので多くのメーカーが商品を企画されています。
弊社もこれまでメーカーが量産する商品を取り寄せて何度か販売させて頂きました。
ただその多くが、金属製か陶器のもの。
今回もまずはこのメーカーの品をご覧頂きましたが、
温かみの感じれる木製のお骨入れを考えて欲しいとのことで、企画させて頂きました。
形状は、円柱の寸胴型。 茶筒の形状。 挽きものです。
材は、清浄な白系で考え、
桧などの針葉樹ではなく、杢目が独特で美しい広葉樹の栃(トチ)をご提案しました。
こちらがその栃材。
光の加減で光沢感が生じる美しい木です。
細かい木目。かなりの良材になります。
さらにこの杢。
波状になったこの杢目を縮杢(ちぢみもく)といいますが、
この特徴的な木目を全面的に出るように製作します。
今回の製作は、ろくろで成形する挽きものですが、
身と蓋の合口は印籠蓋(いんろうふた)になっていますが、
その合わせ目は絶妙★
こちらの動画を見れば、その仕上がり具合がよくわかります。
杢目もきれいに合わさり、
厚みは薄く、繊細な仕事がよくわかります。
粗で木取をして、半月ほど乾燥させて木地を動かせ、
それからロクロで仕上げていきます。
デリケートなお仕事。
すぐに完成とはいきません。
そして今回は、故人のお好きな花の絵を描きました。
美しい栃の杢を絵で埋めることはせず、
どの部分を正面にしても絵が描いてあるのがわかる程度で。
お好きな花は菊。
ツボミが多めということで3回ほど描きなおしました。
木地への彩色は、一回勝負。
目が詰まっているので色のノリと
円柱側面への彩色が描きにくいので、すこし心配でしたが
上品で控えめに、あくまで木の個性を消さずに絵を描き入れました。
写真の撮影がもう少し上手に撮りたかったのですが
実際は現物のほうが良い感じです。
オリジナルのお骨入れ。