日々雑録
仏像修理の話73『身丈2尺4寸・地蔵菩薩座像の修復④』
前回からの続き・・
お地蔵さんは彩色が出来る状態までご紹介しました。
彩色を施せば、概ね完成ではありますが、
こちらは胸飾り。 なかなか良く出来ています。
銅地部分は、大きな欠損もなく、良い状態で残されていました。
繫ぎの玉はいわゆるハリ(ガラス)でしたが、今回の修理では天然石を使用。
既存分は汚れていて何色かよくわかりませんが、
比較的いろんな色が使用されていて、不規則だったりもします。
既存分通り並べるとごちゃごちゃするで、
お任せいただいた場合は、水晶+赤メノウの組合せにすることが多いです。
そして、次の写真がいよいよ完成のもの。
黒衣なので彩色の見せ場は少なくなりましたが、
結構黒一色というのも、下地との相性でムラが出来たり、
逆にやりにくかったりもします。
肌の白にしても、黒衣の黒にしても、水干絵具で色を何種か膠と混ぜ合わせて作っております。
色加減というのは非常に難しく、今回のように衣に文様がない分、
肌と衣の色に関しては、非常に神経質になりました。
もちろん、お顔の眉毛、瞳、唇も同様です。
眉の太さ、瞳の大きさ、瞳の茶目と黒目の配分、唇の色も同様に十分に注意をし、
彩色師に描いてもらいました。
唇で口紅を塗ったようなようなのをよく見かけます。
今回の唇の彩色は絶妙な感じかなと満足しています。
あと、錫杖の柄は、久々に登場の通称THE・ラザラ、風合いを変えた漆変わり塗り。
宝珠は、ご住職のご意向で青漆を塗って、蝋色で仕上げました。
蓮台のほうは消し粉を蒔いてるので、とても落ち着いた独特の存在感に。
宝珠の青漆の指定を受けた時、どんな仕上がりになるか掴めませんでしたが、
意外とはまりました。(以外と言ったらご住職に失礼ですが・・)
蓮台を消粉にしたのも正解でした。
既存の框と蓮華を再利用しての敷茄子と反花の補作は、実は一度作り替えました。
蓮華の下側がもう少しキュっと締まっていて、框も幅があったらもう少し理想的な形に
なったんですが。
ご住職様のご要望にお応えは出来たと思います。
修復期間、9か月。
無事に納まり何より。
ご縁に感謝。そして、素晴らしい物語をありがとうございました。