日々雑録
仏具修理の話23『六角仏台の改造修理』
今回は仏台(ほとけだい)の改造修理をご紹介します。
仏台。。 字のごとく仏さんの台です。
とはいっても、台座ではなく、台座の下に置くかさ上げの台。
正式な呼び名があるわけでもない。
そんな決して主要でない仏具である仏台がこちら。
ぱっと見、灯篭台かとも思える六角の箱台です。
5面に金箔と蓮の彩色が描かれていて、
なかなか手を入れられた仕上がりです。
この上に乗る仏さんの台座と光背は、以前に修繕させて頂きました。
仏像修理の話61『後世の修理で様変り①』
仏像修理の話62『後世の修理で様変り②』
その時から思っていたことですが、
高さ2尺以上ある仏台のおかげで、
ご本尊のお顔が、来迎壁下の虹梁あたりに位置していて、
その高さに関しては、違和感を感じておりました。
そして、別件でお伺いした折に、
限られた予算の中で、何かできないかとご住職と話になりまして、
仏台のご提案をさせて頂きました。
とはいいましても、
幅 480mm
奥行345mm
高さ340mm(変更後)
の台を新たに製作する予算はなく、
既存の台を高さを縮めて、金箔や彩色はほどこさないものの、
漆を使って、上品に仕上げることをお約束させて頂きました。
金箔を拭き取り、台を半分の丈で切断し、天板を固定。
既存の塗りを生かし、
新たに取り付けた天板部分を下地と中塗りを施したうえで、
石目風の変わり塗りで仕上げました。
鏡面の蝋色仕上げとは違いますが、
塗り面を研磨しているので表面は平滑です。
これまでに何度も、この変わり塗りは紹介してきました。
ブツネタ303「仏器箱・変わり塗り仕上げ★」
ブツネタ339「別製木瓜厨子★もうすぐ完成」
ブツネタ385「礼盤の格狭間は・・・」
ブツネタ386「骨蓮台仕上がりました」
ブツネタ414「灯篭台の製作②」
ブツネタ439「変わり塗りと金箔すりはがし」
まだまだ他にもありますが、きりがないので。。
ただ、色や艶、表面の粗さ細かさを使い分け、
多岐にこの変わり塗りを使用してきました。
一辺倒の塗りでなく、趣きがあり、上品さを表現でき、
また傷が目立たなかったり、曇りや汚れが目立ちにくかったり、
色々な長所があります。
動画で見るとより分かりやすいです。
高さはこの通り。
理想的な高さに落ち着きました。
製作元として、いろんな角度から、たくさんの引き出しを用意して、
より良いご提案をさせて頂くことが重要かと思います。