日々雑録

ブツネタ485「町のお地蔵さん建立のお話②」

2023/07/06(木) ブツネタ

 

 

前回からの続き

 

 

図面もまとまり、いよいよ製作の開始です。

 

 

まずは、土台部分の基礎工事から。

高さ10㎝のベース基礎は、カド4箇所にアンカーをセット。

 

 

 

 

見ての通り、右側は壁、後面には柱、左側にも階段があり、

現場での施工は難しいため、

鋼板の下地は、工場で製作して組んだ状態で現地に設置することになりました。

 

 

・・ということで、鉄工所に場所を移し。

 

鋼板の下地、こちらは上部です。

今回の祠の特徴でもあるアーチ状の屋根が良い感じです。

 

 

こちらは、下台部分。

四角に切り抜いた部分は収納口です。

 

内部にはこちらの収納のBOXが入ります。

 

 

 

そしてこちらは、

今回の祠で拘りの1つ、賽銭箱。

 

 

事前調査で、京都市内に賽銭箱が設置されている祠は案外多いものの、

硬貨を1枚ずつ投入する貯金箱タイプのものが多く、

後付けで盗難被害も避けられない感じでした。

 

 

賽銭箱と言えば、やはりこの形状。

視覚的に賽銭箱というのがよくわかる上に、賽銭を入れた時に発生する「音」。 

箱内に落下するまでに、棒にあたり、傾斜の板を滑り、そこに落下する一連の「音」。

その「音」にも注目し、

視覚的にも、聴覚的にも 賽銭箱らしさに拘り、

さらに、取り出し方、防犯面も考慮し、熟考を重ねました。

 

 

 

その賽銭箱や扉、収納BOXなど露わになる部分はステンレスを使用し、

下地の鋼板は、防サビ対策が施されたボンデ鋼板を使用しました。

 

 

そして、それぞれ別パーツだった各部位を接合し一体化し、現地に搬入。

 

 

無事、設置完了。

祠の全貌が明らかになりました。

 

とはいえ、まだまだ外部は丸裸の状態ですし、内部も施工もこれからです。

ひとまず、祠工事のほうはここまでとして。

 

 

 

お地蔵さんの修理もご紹介しておきます。

 

町のお地蔵さんでは珍しい木造の地蔵菩薩像。

お身丈は7寸です。

お地蔵さん本躰と台座を修復。

光背は新たに製作し取り替えることになりました。

 

 

お地蔵さんですが、

まずは、現状の彩色や下地を除去し、木地の状態に戻します。

 

やや厚ぼったくなってるかな。。と感じておりましたが、

 

既存の彩色と下地を除去していくと、

 

 

下から、漆箔(金粉)の層が出てきました。

 

 

このことから、過去に塗り替えられていたことがわかります。

 

さらに下層部も除去し、木地まで戻します。

お地蔵さんは、玉眼が嵌入されていて、とても丁寧な仕事がされています。

 

 

 

全ての下地を除去し、解体が完了。

身丈7寸という大きさですが、像内は内刳り(空洞化)がされていました。

 

像内を内刳りするのは、

干割れ(木の割れ)を防ぐのに有効な技法ですが、

 

ご覧の通り、非常に目の細かい良質の桧材が使用されていますし、

この上ない材料で、この上ない構造で、製作がされていました。

 

残念ながら、いつの時代に製作されたか等の墨書きや納入品はありませんでしたが、

修復する側としても、身が引き締まります。

 

 

そして、お地蔵さんの修復と並行して、厨子も製作。

 

今回製作させて頂くのが、弊社オリジナルの八華型厨子

様々なお厨子を提案させて頂いた中、施主様が興味を持たれたのがこちらのお厨子でした。

実は、曲面だらけの非常に製作が難しいお厨子でもあります。

 

そんなハイクラスなお厨子を今回は、栃の木地仕上げで製作。

 

 

祠に、栃の八華型厨子がどのようなバランスで納まるのか、

そして、お地蔵さんはどのように仕上がっていくのか、

 

それはまた次回以降でご紹介させて頂きます。

 

 

 

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