日々雑録

ブツネタ487「町のお地蔵さん建立のお話④」

2023/07/20(木) ブツネタ

 

町のお地蔵さん建立のお話も4話目。

 

 

前回は登場しなかった祠の工事も、終盤。

 

石を設置していくと、祠の雰囲気がぐっと増してきます。

 

全ての石が設置できました。

この後、屋根の曲線には銅板葺いていきます。

 

さて、ステンレスの黒焼き付け塗装がされた格子の扉下には、

 丸く刳り抜いた穴があります。

 

ここに前回ご紹介した、銅地の打ち出し地彫りの卍金具を取り付けます。

 

水銀箔鍍金を施したあとに、魚々子を打ちました。

普通の電気メッキの感覚では、

彫りが完了してからメッキを施すというのが通常の流れですが、

 

水銀箔鍍金の場合は、金が金属に浸透している分、

鍍金をしてから魚々子を打つこともでき、

魚々子自体も、よりくっきりと粒が出ます。

 

 

2粒打ちの魚々子。 丁寧な仕事、粒にメリハリがあります。

 

この立体感のある卍が、裏から打ち出しで、1枚の板から出来ていると

そこまで見られる方は少ないかもしれません。

内側を見れば一目瞭然なんですが。

 

鋳造品ではなく手仕事で作られた金具を、今回の祠には取り付けさせて頂きたくて、

施主様にご提案をさせて頂いた次第です。

 

 

金具の内々に木を嵌めて、側面から鋲で止めて、鋲の頭をルーターで削ってかしめて固定。

ボルトを固定して、祠に取り付けます。

 

 

 

 

さて、次にお地蔵さんですが、

彩色を施す前の下地の作業へ。

 

先ずは、生漆を塗って木地堅め。

 

胡粉と膠による白地を塗っては研磨。

 

 

 

この工程を繰り返して、白地が完成。

 

 

そして、この後、

台座の一部も含めて、彩色の工程に移ります。

 

新誂している光背も、

彫り上がって、漆を塗り上げました。

光背はこの後、金箔を押して完成になります。

 

 

お地蔵さんの修復完成は次回にご紹介しますが、

先に、厨子の完成をご紹介しておきます。

 

 

こちらが、弊社オリジナルの八華型厨子。

かなり細かい縮杢部分を厳選した極上の栃材で製作しました。

 

 

栃の縮み杢はよくみられますが、

ここまで細かいのは希少です。 扉一面の縮杢は圧巻です。

 

光の当たり具合で色んな表情に変わります。

 

こちらは屋根の天場です。

繊細で美しい曲線がより上品に演出。

 

 

 

厨子の完成報告が先になりましたが、

次回はいよいよ、祠と地蔵尊の完成報告をさせて頂きます。

 

 

 

 

 

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