日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ38『修理か…新誂か…④』(全4回)
2010/06/28(月)
仏像修理の話
さて、最終話です。
阿弥陀さんの修理は前回ご紹介しましたが、
台座・光背も修理が完成しています。
漆を塗って、金箔を押す。
蓮華は岩彩色(岩絵具による彩色)を施し、截金。
地擦り框(じすりかまち)に毛彫りの金具を取り付け、仕立てれば完成です。
八角の古代型と呼んでいる台座ですが、
古代型と言えども、制作する仏師さんや座彫り師さんで違いがあります。
当社では、多少彫刻の内容が変わりますが、この形状が定番でしょうか。
ゴチャゴチャしてなくて、バランスが良く、見せ場もあって好きな台座です。
今回の台座のポイントは、
●華盤(けばん)から下がる八本の脚。
●脚の内側にある八角の角茄子(かくなす)。
その地透き箇所に入る唐草の付け彫りを
ヌグイ仕上(金箔を押してから、金粉を蒔く仕上)を施したこと。
(でも、残念ながら見た目にはよくわかりません・・・)
●あとは、やっぱり蓮華の截金でしょうか。
・・・で、
部分修理を施した阿弥陀さんを安置すると・・・
こんな感じです。
あ、そうそう、追記するほどでもないんですが、
阿弥陀さんの眼は玉眼でして、
修理前は、
眼に汚れがたまって、
血の涙を流すラーメンマンみたいになってましたが、
玉眼に付着した汚れを除去することで、
バカボンママのような輝いた眼を取り戻しました。
玉眼はそもそも、より写実的に見せようとするために
鎌倉時代から取り入れられた技法なので、
玉眼の特徴である輝きがあるのとないのとでは、仏さんの印象も全く違ってきます。
今回の修理では、
台座は新誂し、お像と光背は既存分を生かした修理を施しました。
記事一覧|2010年6月
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