日々雑録

ブツネタ488「町のお地蔵さん建立のお話⑤」

2023/07/26(水) ブツネタ

 

 

さて、いよいよ第5話。オーラスです。

 

そのまえにおさらいです。

ブツネタ484「町のお地蔵さん建立のお話①」

ブツネタ485「町のお地蔵さん建立のお話②」

ブツネタ486「町のお地蔵さん建立のお話③」

ブツネタ487「町のお地蔵さん建立のお話④」

 

 

 

それでは、地蔵菩薩像の修復後からご紹介します。

 

まずは、台座から。

修復前は、総金箔押しでしたが、

 

修理後は、

上部2段を、白蓮華に仕様変更。

 

花弁の部分には水晶末を蒔いて、先をピンクで暈かし、

蓮肉の天場には渋めの緑青を蒔き、筋は截金で仕上げました。

 

白系の岩絵具にも多種ありますが、

やや透明感のある水晶末が、非常に上品なのと、截金ともよく合うので、

弊社では長年、水晶末+截金の白蓮華を製作しています。

 

 ブツネタ100「水晶末で白蓮華☆」

仏像修理のハ・ナ・シ58

ブツネタ382「骨台、仕上げは白蓮華」

 などなど

 

 

蓮華より下側もイメージを一新して、

框は朱塗りにして、金具を新誂して華やかに。

 

 

そして、

 

もとは宝珠付きの輪光だった光背も

透かし彫りの舟光背に変更。

 

 

 

 

 本躰は、

 

華やかな極彩色の衣にし、胸飾りを新誂。

衣の色は施主様のご希望を尊重し、配色しました。

 

 

 立像7寸とは思えぬ存在感。

 

 

修復前と修復後を比較してみましょう。

 

 

 

 

それでは、完成の全貌です。

 

お地蔵さんといえば、提灯。

そして、付き物なのが幕。

 

提灯は、揺らぎのLEDを使用し、

暗くなると自動で点灯するセンサーを設置しました。

 

幕は、格子の窓から"卍"がわかるように抜染し

アーチ状に合うように製作し取り付けました。

 

 

 

スペース的には、間口も奥行も余裕がなかったのですが、

なんとか、まとめることが出来ました。

 

 

拘っていた賽銭箱も、

とってつけた感がなく、きれいに納まりました。

 

視覚的に賽銭箱というのがわかるようにしたかったのですが、

さらに、賽銭箱というプレート(兼・茶湯器台)を置きました。

 

 

あと、賽銭を投入したときに、

投げ入れたと実感できる音(硬貨が箱内に納まる音)が欠かせない思ってまして、

↓ 硬貨の投げ入れ音 ↓

https://youtube.com/shorts/zBfQVi9_G0s?feature=share

 

 視覚的、聴覚的な拘りと、イタズラ等の防犯的なことを踏まえて

こちらの賽銭箱を設置しました。

 

 

 

 

そして、賽銭箱の前には、

個人的には今回の目玉でもある 打ち出しの卍金具も、ピッタリと

 

 

 

補足ですが、

石造のお地蔵さんではなく、木仏になるため、

風雨や盗難の予防には、かなり時間をかけて対策をしました。

 

さらに、近年の夏場の異常な暑さの対策としても

換気扇を設置し、風が循環するような造りとしました。

 

 

 

ということで、

開眼法要も無事に終え、いつでも手を合わせることが出来るようになりました。

 

 

京都市独自の「京都をつなぐ無形文化遺産」に携われたことは、

仏具屋冥利に尽きます。

 

今回、完成するまでに何度もお近くの方でしょうか、何回も声を掛けて頂きました。

町の安全と繁栄を願って、多くの方々の祈りの対象になることを嬉しく思います。

 

仏縁に感謝。

 

 

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