日々雑録
ブツネタ434「肉髻珠をモリスルビーで★with T」
ちょうど昨年末に白毫珠(ビャクゴウシュ)・肉髻珠(ニッケイシュ)を
人工水晶で作りました。
珠は当たり前のように水晶が使われていると思われがちですが、ガラスや樹脂が多いのが現状です。
?
弊社では、こういった珠や玉眼を人工水晶で製作する職人さんと
長いご縁があります。ホント貴重な存在です。
さて、仏像の大きさによって珠の大きさこそ異なりますが、
白毫珠も肉髻珠でも形状は変わりません。
ただ、白毫と肉髻珠で大きく異なるのが1点。
それは色が違います。
白毫は字の如く白。
そもそもは白い毛が螺旋状になって光明を放つと言われています。
(白毫を螺旋上に表現することはきわめて少ないですが、
過去にこんなのがありました⇒ブツネタ400「白毫、巻きますか?」)
かたや、肉髻珠は、智慧の光明を表し、赤で表現をします。
仏像製作の場合、この肉髻珠は、珠の底を赤く塗ります。
中には赤メノウが使われていることもあります。
弊社でも過去に挑戦したことがあります。
瑪瑙の珠を取り付けたとき、それなりの満足感はありました。
ただ、少し物足りなかったんです。。
それは・・・透き通ってない。
決して透き通っていないといけない訳ではないのかもしれませんが、
やはり光明をさすならば、
より美しい石が良いなあ、というのが私の感想でした。
とは言うもののそれからの進展はなく・・。
それから数年。
思いがけない出会いがあり、また肉髻珠への思いが浮上してきたのです。
それが、モリスルビーさんとの出会いでした。
Moris ruby モリスルビー https://www.morisruby.com/
モリスルビーさんとは、ミャンマー産の天然無処理ルビーの専門店で、
銀座と京都にお店を構えておられます。
産地ミャンマーに自社工場を持たれ、人工的に着色をされないという、
まさに、“ほんもの”の宝石を扱われるルビー専門店です。
そして、
モリスさんのお店にもお伺いし、双方の熱い思いを交換しました。
おなじ“ほんもの”を扱う者同志。
“ものづくり”“ほんもの”“京都”という共通点から
まさか!の
『肉髻珠をモリスルビーで』プランが浮上しました。
先ほども申しましたが、
モリスさんは、ミャンマーに自社工場を持たれています。
なので、試作品はすぐに製作に掛かって下さりました。
双方にとって初めての試みです。
『肉髻珠をモリスルビーでwith T』
・・なんて、妄想が膨らみます。
さすが自社工場。
数週間で試作品が届きました。
要点は3つ。
まずは色。
淡い色ではいくらルビーであっても意味はなく、ルビーの中でもかなり濃い色でないと使えません。
次に形状。
通常製作する珠の形状は、円柱でトップをアールにします。
球体や半球体では、いずれ脱落してしまいますので、円柱にして、頭部に嵌入しなければなりません。
最後に金額。
京都で製作する仏像です。やはり仏像だけでもそれなりの予算がかかります。
やはり販売することも考えなければなりません。
そして、実際に嵌め込んでみました。
(試作品の珠に該当する大きさの仏像がなかった為、
仏像とのバランスは合っておりません。)
該当する大きさの仏像がないのが残念でしたが、
桧の仏像にも試しましたが、個人的には漆箔(金箔)の仏像のほうが
相乗効果を得られるように思いました。
結果、
色に関しては、
濃くなればなるほど、希少価値が上がり、なかなか採取するのが難しい。
ただし、濃い色のものは無いわけではない。
形状に関しては、
深さが必要なためそれなりのサイズになる。
半球体であれば1/3、球体ならば1/2位で済むのだが。。
そして、費用は、
色においても濃いものは最高クラス、形においても結構な長さが要る。
ロットは最小の1個となり、どれにおいてもコストは高くなる環境。。。
かなり現実化するのには難しい。。。
という考察となりました。
しかし、モリスルビーの稀少性と美しさ、そして、カッコよさを肌で感じることが出来ました。
また、このような蛍光性があることも教えて頂きました。
ブラックライトをあてると、
このように光るのです。
こんな情報を得ると、
肉髻珠として何とか採用できないか、と諦められません。
ただ、諦めるのではなく、
一旦持ち帰り、またいつか検討できる日がくるのを待つことにします。
いつか、モリスさんとコラボ出来る日を夢見て!