日々雑録

仏像修理のハ・ナ・シ24『維持修理と復元修理①』(全3回)

2008/08/04(月) 仏像修理の話
写真の仏さんは、観音菩薩像。

両手で蓮華を持つお姿。

この形式は、阿弥陀三尊として、勢至菩薩と1対で阿弥陀如来像の両脇に
祀られる、最も多いもの。

その観音さんに、損傷がみられ、当工房にやってこられました。

左肘、右肩、両足先の脱落、あと確認しづらいですが、左手中指の先に欠失が確認できました。

今回の修理では、その損傷部位のみを修理。維持修理ですね。

まずは、埃等を清掃、いわゆるお身拭い。

その後、脱落部位は接着、欠失した指は新補し接着。

そして、接着部位の隙間に刻苧(こくそ)をして…

錆地を付けて表面を補正し、最後に補色。


大まかには、そんな流れで工程は進みます。

そして仕上がったのが、下の写真。

以前に紹介した宝冠はこの両菩薩のもの。

このあと、宝冠を取り付けて修理は完了です。

かたや、このお像が立たれる台座は、復元修理を施しました。

次回へつづく…


修理のハナシⅤ 『基準寸法に合わせた改造』

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