日々雑録
ブツネタ469「次第箱に煮色着色金具」
2021/09/08(水)
ブツネタ
現在、お修理で大壇一式をお預かりしています。
修理内容が少しイレギュラーなので、
納入が完了しましたら改めてご報告いたします。
で、今回は、一式に含まれる次第箱(前箱)に付く錺金具のお話。
こちらが、その次第箱。
修理前の画像です。
同じ高さに白い筋が付いていますが、
これは礼盤の錺金具の鋲の頭が擦れて出来た傷。
逆側にも同様にあります。
今回の修理において、塗面がきれいになっても
同じ配置だと、同様に傷がついてしまうので、
傷部分に金具を付けることにしました。
傷防止用の金具とはいえ、格好よく作りたいものです。
バランスよく、猪の目も入れて。
当初は銀の燻メッキを考えておりましたが、
比較的大きな範囲になるので、ちょっとした遊び心と、
京都ならではの技術を知って頂くため、
煮色(にいろ/たきいろ)での着色をご提案させて頂きました。
煮色とは、簡単に説明すると、
薬液の中で煮込み、独特な発色した表面に仕上げることです。
伝統的な工法で、茶道具では良く使用されます。
仏具では、所謂“通好み”。 弊社では年に1回あるかないか程度でしょうか。
こちらが、今回蹴り彫りで彫金した金具。
地金は、真鍮です。
煮色の場合、地金によって色の上りが異なりますので、
銅の場合、赤っぽい橙系の色になるので、真鍮を選びました。
仕上がった真鍮の煮色です。
上品な風合いです。
茶道具でよく使われるのも納得。
鋲も同様に真鍮の鋲で、煮色で仕上げています。
向壇と礼盤に挟まれて、隠れてはしまいますが、
だからこその 遊び心 です。
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