日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ32『制作当初の状態』
2010/03/06(土)
仏像修理の話
この阿弥陀さん
初めて見たときの感動たるや、衝撃的なものでした。
立像で7寸程の小さな阿弥陀さんですが、
とにかく素晴らしく良く出来た仏さん。
台座と光背は、木地の状態まで戻し解体し復元修理を施しました。
ブツネタ134 「★恐ろしき彫刻★」
ブツネタ138 「木地修理が完了」
ブツネタ141 「さすがの塗師さん★」
本躰の阿弥陀さんですが、お預かり時はこのような状態でした。
汚れは付いているものの、
漆箔・下地の保存状態はかなり良く、制作当初の状態がきっちり残されていました。
なので、
現状を維持し、汚れを除去することに重きを置くことにしました。
汚れを除去しながら漆箔の表面が露わになっても、
右手の中指の欠損が見られたものの、他に大きな損傷は見られませんでした。
欠損部の指先は補足し、古色。
大半の汚れを除去することが出来て、
制作当初の衣の金箔、肌の消粉(金粉)を露わになりました。
螺髪は調和するように濃いめの群青色を入れ、
お顔には誇張しないように淡く髭と眉毛を描きました。
文化財のように制作当初の状態を維持することを
頑なに固執するつもりはありませんが、
今回の修理では、最も適した方法だったと思います。
記事一覧|仏像修理の話
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