日々雑録

ブツネタ380「ホンモノの高杯」

2015/08/14(金) ブツネタ





在家仏具を京都で製作する機会は少ないのですが、

過去にはこんなの作らせて頂きました。


ブツネタ167「在家用仏具の制作」

ブツネタ168「続・在家用仏具の制作」

ブツネタ179「在家用仏具が完成しました」



今回ご紹介するのは、高杯(たかつき)。


過去に数回作らせて頂いていますが、量産品だの、プラスチック製が殆どの中、

京都で制作させて頂けるのは有難いことです。




カタチは一般的、寛通型の高杯です。


高杯の脚の高さは、仏さまを敬う心を表すのだそうですが、

寛通型は比較的低いように思います。


高さ3寸5分。直径3寸5分。

ロクロで製作します。いわゆる挽き物。



こちらが木地完成時。




材は尾州桧。 最近相当値が高騰しています。

目が細かく、美しい木肌です。塗り下にするには勿体ないくらい。






高杯のカタチは共通して、下の台の方が径が小さくなります。



少々重たいお供えをされると、安定が悪い・・。
そのように感じられた方も少なくないはず。



ですので安定させるために、底を刳り抜いて鉛を入れます。








昔の高杯には、鉛入りのものが沢山作られていましたが、

プラスチック製になると、そんな細工はありません。




もちろん、蓋をして仕上げます。



そして、漆塗り及び蝋色でより良く仕上げるために、

ボルトとナットを埋め込み、外せるようにしました。





・・・で、こちらが漆塗り及び蝋色の工程が完了したところ。

溜(ため)漆です。 下地は堅地。













美しい湾曲ラインと塗り面。

木製ならではの温かみを感じる高杯が完成しました。



こういったホンモノの在家仏具も作り続けたいです・・。



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