日々雑録

仏具修理の話24『繰出位牌の復元修理』

2022/04/21(木) 仏具修理の話

 

 

ご住職さんからご相談を頂きました。

 

檀家さんの繰出位牌が傷んでいるので、新しく買い替えるといくら位しますか?

というお話でした。

 

拝見すると、なかなかよく出来た繰出位牌で、間違いなく京都製。

現在出回っている繰出位牌と比べると雲泥の差です。

 

こちらが、その京都製であろう繰出位牌。

扉の高さは3寸。繰出位牌としても小さい部類です。

 

彫刻の緻密さ。形状とバランス。金具も手打ち。

部分的に損傷あるいは亡失していたりはしますが、よく出来ています。

 

 

 

量産品を買い替えると、

見た目は、塗りに艶もあり、金箔も光っていて一見きれいには見えますが、

塗りは漆ではなく、バランスも彫刻もグレードは下がり、金箔も質は下がり、金具はペラペラのプレスもの。

 

 

・・ということで、

 

「新調されるなら2.3万円でありますが、量産品の位牌に替えられるなら、

扉のぐらつき等、最低限直されてでも既存位牌を使われたら如何でしょう。

もちろん、復元修復をすれば見違えるほどよくなりますよ。」

 

・・とご提案をさせて頂き、

既存の塗りや下地を除去し木地に戻す復元修理をご依頼頂きました。

 

 

まずは解体からです。

屋根と台座は水に浸けて下地を浮かせて除去。

板が入る胴部や扉は、サンドペーパーで研磨して下地を除去。

 

手間が要りますが、きっちりと修復するのであれば、この工程は必須になります。

 

 

こちらが木地の戻して解体した繰出位牌。

 

 下地の除去が済めば、木地修理。

接合し直し、不足部分を補足し、ホゾの緩みなどを調整しました。

 

 

そのあとは、漆塗り、金箔押しの工程に移り、

屋根には黒漆で家紋を描き、

 

外した扉金具は、手直しし、

 

メッキを施して、

最終、本体や金具を取り付けて完成に至ります。

 

 

 

 

地擦りの刳ってある裏側には、金箔押し。

京都製なら、この地擦りの裏側は必須です。意外と見落としがちです。

 

 

小さな繰出位牌を修復する機会はそう多くありません。

近年では、繰出位牌を求められる機会も少なくなりました。

 

このような秀作の歴史ある位牌を直させて頂いて、

継続してお祀りいただけることを嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

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