日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ54『釈迦座像と台座光背の復元修理』(全1回)
2012/12/23(日)
仏像修理の話
8月末に当社工房にやってこられたのが、
木仏の釈迦如来座像とその台座と光背。
身丈は座像3寸。 小さいながらも丁寧に作られた秀作です。
ん~、よく出来てますね。
玉眼入りの漆箔仕上げ。 白毫珠は亡失しています。
この仏さんからすると、台座・光背も期待が持てます。
まさしく、期待通り★
八角型で、葺蓮華(ふきれんげ)、華盤(けばん)の付いた台座と、
舟形で宝相華の透かし彫りの光背。
損傷は著しいものの、よく出来ています。
ただ、修理するとなると、そこそこ手が掛かります。
バランスの良い台座・光背ですが、
預かり時は、このような状態でした。
全体的に接着が緩み、多くの部位が遊離し、脱落。
亡失してしまった部位も確認できました。
蓮弁は1枚亡失。
蓮華下の敷茄子(しきなす)の花弁が1枚亡失。
華盤につく足は2つ亡失。
地擦り框(じすりかまち)に付く小足(こあし)は3ヶ所亡失。
あとは想定の範囲内で、欠損、欠失箇所を確認。
・・・といったところです。
今回の修理は復元修理。
下地を除去して木地の状態に戻し解体をします。
ただ、木地の状態に戻すといっても、
木地を傷めずに丁寧に下地を除去することが肝心です。
このように見事にバラバラになります。
解体した部位を再度接合し直し、
欠失したところは、元の彫刻に倣って補作、
亡失したところは新規に制作します。
・・で、木地修理後がコチラ。
お釈迦さんに関しては、玉眼なので、
玉眼を嵌入し直し、このあと瞳を描き、
綿を詰めて、
木片で押さえて、竹釘で固定。
玉眼の内側に描いた瞳に、綿が白目となって、
よりリアルに眼を表現することが出来ます。
木地修理後は、塗師、箔押師、彩色師の手に渡り、
完成に至るわけです。
工期は3ヶ月強。
かなり窮屈な期間でしたが、無事に仕上げることが出来ました。
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