日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ53『超レアな仏像と盆葺き蓮華座③』(全3回)
『超レアな仏像と盆葺き蓮華座②』 からの続きです。
まず、台座・光背から・・。
修理方法の決定後は、水に浸けて漆箔・下地の層を除去。
木地に戻して解体。
解体したパーツを再度接合し直し、
欠損箇所等の補作を行います。
反花(かえりはな)より下の段は、修復の対象とせず、
框座を新調。 楕円の木瓜型にしました。
木地修理後は、塗師屋さんの手に渡り、
胡粉下地を施し、
漆を塗り上げます。
一方、阿弥陀如来座像のほうですが、
内部の空洞化による今後の被害を避けるために、
まずは、内部の繊維質に樹脂を流し込み、硬化させます。
樹脂も何種類か使い分け、こちらは隙間を埋める樹脂を注入しているところです。
全体に行き届くように、膝前部分には、
左右から注射針を入れ、樹脂を含浸。
修理前と比べ、重量は重くなりましたが、
空洞化の著しい像内の不安定さは解消されました。
また、唇下から顎にかけての傷みは、
後世の修理によるもので、傷のツクロイで部分的に錆地を盛ったのが、
がさついたままになっていたようです。
その“がさつき”を刃物で除去すると、
金箔の層が出てきました。
この金箔がオリジナル(制作当初)だったと推測します。
表面を研いで、整えた後は古色。
仏像の修理はこれで完了です。
そして、盆葺きの台座と光背も、金箔押しの工程が完了し、
新調した框座には金具を打ち・・・完成。
そして、お仏壇内に納入しますと・・・
このような納まり具合になります。
修理前はこちらです。
台座を低くすることで、若干ですが光背の見え具合も変わりました。
実際、仏壇の前で正座しご本尊に手を合わせてみると、
このような見え方になります。
良くなりましたね★
仏像の修理において、木造であるのが前提で考えていましたが、
今回におきましては、全くの見解違いでした。
どのような構造なのか、今回ほど調査に時間を掛けたことはありませんでした。
X線撮影などを経て、修理方法を選択し、
締切日までに修復を完了出来たことは良かったですし、
それ以上に、勉強させて頂くことが多い仏さんでした。
忘れられない仏さんになることでしょう・・。
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修理のハナシ29
『超レアな仏像と盆葺き蓮華座①』
『超レアな仏像と盆葺き蓮華座②』
記事一覧|仏像修理の話
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