日々雑録

仏像修理のハ・ナ・シ4『熊谷蓮生像/現状維持修復④』(全5回)

2007/10/29(月) 仏像修理の話
前回より続き… 

接合の工程が完了すると、残すは補彩の工程になります。


⑦補彩
今回のお像の衣には、極彩色の模様等がなかったため、

刻苧後の色合わせの心配が非常に少なくてすみました。

現状維持修復は元来、彩色を補うことは極力避けます。


今回の場合は、衣を補彩し、ご尊顔はご要望により古色を施しました。


お木像の形状や仕様、損傷状況により修復内容は変わってきます。

また、どのような趣旨で修復されるかにより修復方法が変わります。

それを踏まえてどう対処していくかが重要になってくるのです。


今回の補彩では、漆と墨と水干絵の具を使用し、最後に像内に銘札を納入取付し、これで『現状維持修復』の全工程が完了しました。

次回へ続く…


写真上:接合後(赤線が木寄せ箇所)
写真下:補彩後

記事一覧|2007年10月

1ページ (全2ページ中)

ページトップへ