日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ33『修理か…新誂か…①』(全4回)
当社にやってこられた台座と光背。
立像9寸用です。
在家用にしては、そこそこの大きさ。
見たとおり、台座と光背の金箔の色艶が違います。
明らかに手を入れられた時期が異なります。
損傷も著しく・・・
光背の先端は欠損し、
矧ぎ目(木寄せ)の部分も遊離して、下地の剥落も確認できます。
さらに、台座とを固定するホゾが折れてしまったんでしょう・・・。
無理矢理、光背の背中に代わりのホゾを付けて、
そのダメホゾをも固定する木片が、鉄釘で打ちこまれていました。
台座自体も損傷著しく、
地擦り(じすり=最下の段)は、木が他に比べて新しく、
後補のものであることがわかります。
地擦りは最も傷みやすい部分なので、先に傷んだんでしょう。
でも、そこで足された後補部分は、
八角型なのに、形状が合わされることもなく、
バランスも大きすぎて、なんとも“いかんせんなお仕事”でした。
後世の修理により、とことん悪い状態になってしまった台座。
彫刻は埋まってしまい、角は丸まり、虫喰いもひどく・・。
・・・で、今回のこちらの台座・光背ですが、
光背は、下地を除去して木地まで戻し解体して、
木地補修をして、漆箔をやり直す復元修復とし、
台座は、この台座を生かすことはせず、新誂することにしました。
出来る限り、オリジナルを生かし修理することを第一に考えますが、
そこに至らぬ状態と、施主様のご意向、ご予算等の面で考慮した結果、
出した答えが新誂だったわけです。
形状はお任せいただいたので、
形状は変えるものの、目の高さが変わると具合が悪いので台座の高さは変えずに、
当方好みの台座をオススメさせて頂きました。
・・・で完成した台座の木地がこちら。
実はもう既に、座彫り師さんに渡していて、
もうじき彫り上がるので、近々にご紹介できるかと思います。
次回☞修理のハナシⅩⅢ 『修理か・・・新誂か・・・②』
記事一覧|2010年04月
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