日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ3『熊谷蓮生像/現状維持修復③』(全5回)
2007/10/28(日)
仏像修理の話
前回より続き…
いよいよ、損傷箇所の補修になります。
解体した各部位に虫喰い被害が見受けられました。
お木像の修理には付き物です。古い木材を好むシバンムシの幼虫による被害です。
表面上は分からなくても内部を食い荒らし、
皮一枚の状態でスポンジ状になっていることも少なくありません。
さいわい、重度な被害は少なく、想定の範囲で予定通り修復作業は進みました。
③害虫駆除
お像の体内にはまだ、その幼虫が潜んでいるかもしれませんので、
薫煙式の殺虫剤を一定期間密閉し駆除を行いました。
④内部木地修復
虫喰い箇所には、刻苧(こくそ)を充填します。前項で申しましたが、
今回の修復では、天然材料のみの使用となり、漆刻苧(漆・小麦粉・桧粉)を使用しました。
⑤接合
解体し、修復が完了した各部位を接合します。その際には膠を使用しました。
お木仏の形状によっては耐久力を考え、漆にて接着することもありますが、
漆の接着力は非常に強固なため、後の修復時に不利になる場合があります。
木寄せ箇所を接合すると、接合部分に筋が残りますので、
木寄せ部分の補修が必要となります。
⑥外部木地補修
木寄せの隙間には刻苧を、深い溝や孔には桧材で埋め木をした後に
刻苧充填後、錆地(漆・砥の粉)にて補正します。
端折りながらの説明で不完全ではありますが、このような流れで進みます。
次回へ続く…
写真上:接合[半ば時点]
写真下:刻苧風景
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