日々雑録
仏像修理の話69『左腕のない仏さま』
2016/11/05(土)
仏像修理の話
こちらは、身丈1尺の阿弥陀如来像。
玉眼で、内刳りされた良く彫れた阿弥陀さん。
ただ、損傷が著しく、左から衣・手先が欠失。
他に、右手や螺髪など、部分的に欠損があります。
今回の修理は、欠損箇所のみを修理する現状維持の部分修理です。
右手は、後補のものでしたので新たに取替えることにしました。
材は、尾州桧材を使用。
左肩から袖にかけても同様に桧材で新補。
割り袖なので、木地修理の段階では接着はまだしません。
接着してからですと、衣の奥には金箔が入りません。
ですので、割り袖にして、衣の奥に漆を先に塗り、金箔を押すわけです。
僅かなことですが、きっちりと仕事がされているかいないか大きなポイントです。
そして、今回は像内納入品がございました。
小さな三つ折りに表装させて頂き、
油紙で包んで、
像内に納入です(^^)
こういった別途オプションが結構楽しかったりもします。
いつしか、この納入品を取り出されることが来るのか・・。
・・・で、
肩を接合し、その接合面の筋を埋めて漆を塗った後に再度、金箔を押す。
そして、最後に部分修理箇所を、古色で色合わせです。
得意な仕上げ方法☆ 満足いく仕上がりになりました。
実は、阿弥陀さんの修理と、
このお木仏用の台座・光背の新調もご拝命頂きました。
その台座・光背が、☆彫り上がりました★64 でご紹介したのが、
今回の阿弥陀さんの分でした。
頭光の唐八葉★
岩緑青彩色の截金(きりかね)仕上げ
こだわりがチラホラ。
そして、ご縁に感謝です。