日々雑録

ブツネタ387「春慶塗りの施餓鬼壇」

2016/01/11(月) ブツネタ





去年の話ですが、春慶塗りの施餓鬼壇を製作させて頂きました。




施餓鬼壇は、使用する頻度が少ない割に、場所も取るので、

折り畳み式で収納しやすいものが多く使用されているように思います。




私も何度かそういったもののご依頼を頂き、

ご納品させて頂いたことがあるのですが、



あらゆるところに蝶番が付いて、持ち方を誤ると、

比重がかかり、歪みで損傷させてしまわれたご住職様もおられました。



また、仕上げも春慶風塗りということで、風(ふう)こそ付いていますが、

春慶塗りには程遠く、少しおこがましく思いました。




そんなめっきり京仏具としては、製作機会の少なくなった施餓鬼壇ではありますが、

私が入社してからは3度目となる施餓鬼壇を製作させて頂きました。


京仏具となれば、‟風”は付かず、もちろん本春慶塗りになります。




こちらは木地。





春慶塗りは、木目を生かした塗りになります。

拭き漆(摺り漆)は欅製仏具で多用しますが、

春慶塗りで仕上げる仏具は少ないものの、施餓鬼壇においては

春慶塗りが多いのは何故なのでしょう・・。







春慶が塗り上がり、金箔を押し、錺金具を打って完成。
地擦りにはキャスターを付けています。





彫刻や彩色もないシンプルな仕上がりですが、


きれいな春慶塗りがより引き立つ施餓鬼壇となりました。


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