日々雑録

ブツネタ446「阿弥陀三尊像の納入」

2020/03/15(日) ブツネタ




前回ご紹介した、阿弥陀如来像の御修復。

阿弥陀三尊として祀られます、と最後にチラッと触れました。



今回はそのご両脇の観音勢至菩薩像のおはなし。


実は、その両菩薩像は、以前にご紹介をしております。

☆彫り上がりました★70「立像6寸の観音・勢至菩薩像」






今回の観音・勢至菩薩像。(彫り上がり時)

そもそも、両菩薩を祀りたいというお話が最初でした。


今回、浄土宗の仏壇内に観音勢至菩薩を納入するお話で、
ご本尊の阿弥陀如来像と、善導大師と圓光大師像は木像で祀られている上で、

阿弥陀三尊として、観音勢至像を新たに迎えるという施主様のご意向でした。




こちらが、今回両菩薩像を安置させていただくお仏壇。

立派な金仏壇です。

ただ、まずは阿弥陀三尊を祀れるのか・・。



どこに安置するのか・・。


その大きさは・・。




両菩薩を製作させて頂いても、

違和感なく祀ることができなければ、意味を成しません。


両大師像の脇壇には豊富なスペースがありますが、
やはり、阿弥陀三尊として中央の須弥壇上にお祀りをするべき。


というようなことから、どのようにご提案しようか
考えておりました。




阿弥陀さんが身丈1尺1寸。


それに対して、両菩薩は身丈6寸。


三尊での寸法に決まりはありませんが、

寺院に祀られる本尊に対して、7割くらいが多いよう思います。
(あくまで主観です)



といいましても、お寺と在家用仏壇とは違います。
仏壇内との調和も鑑みて最善と思われる寸法をご提案いたしました。


彫り上がってからは、しばらくの間、塗師のもとへ。

小さな仏像ですし、ましてや菩薩像。

塗り膨れないように、何度も漆を塗り重ね、



部分的に錆を付け、また漆を塗り、研いでは塗り、



ようやくこの状態までこぎつけました。




ご本尊も両肩接ぎでしたが、

両菩薩は自ずとその形容から両肩を接がなければなりません。









先に脇や腕の仕上げにくい部分を仕上げて(金箔押し+金粉蒔き)、

接合した後、この接合部の筋(赤矢印)に薄く下地をし、漆を塗ります。






塗師、箔押師、塗師、箔押師、と行ったり来たり。




最終、箔押師が金箔及び金粉を仕上げれば、




彩色師が、面相筆を使って、眉毛や髭を描きます。


宝髻にも色を塗り、生え際には白緑のラインを入れた後、


今度は、天衣の取り付けと、宝冠や胸飾りの取り付け作業。



他にまだ、台座や光背の組み立てもあります。


最終の組み立てはあまりフォーカスしませんが、


傷つけられないのはもちろんですが、その都度検品をしていても、


この段階にならないとわからない不具合があったりすることもあり、

最後まで気が抜けず、緊張が続きます。



そして、ようやく完成に至ります。













阿弥陀三尊として。






仏壇に安置した阿弥陀三尊。




柱内には、三尊をお祀りするスペースがないので、

須弥壇前側に、このように設置。

これ以上大きくすると、窮屈さも出ると思われ、

最善のサイズだったと改めて実感しました。



阿弥陀さんの出来に劣らない両菩薩像。

非常によい仕上がりになりました。





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