日々雑録
仏壇修理の話7『京仏壇(板内2尺7寸)部分修理②』(全2回)
さて、前回からの続きです。
部分修理のお仏壇。その各部をご紹介します。
まずは、障子の窓。 七宝透かし箇所です。
欠損箇所を補作。
こう見ると、結構欠けてますね。
この4枚は、全て漆を塗り替えて、金箔を押し替えました。
そして、同じく障子の腰に付く枠。
矧ぎ部分(4隅の接着面)の遊離による漆の剥離が生じていたのは4枚中2枚。
接合し直して、漆塗り、金箔押し。
当初、2枚のみの塗り替え予定でしたが、
残り2枚は磨きこんだのですが、その差は埋まらず、
結果、4枚とも塗り替えることになりました。
やってみないとわからない一例でした。
そして、雨戸です。
この雨戸は、
四方枠は黒、
地板は溜のようにも見えますが、欅の木地蝋色(木目見せ)です。
裏側(戸裏)は、枠が黒で、地板が金箔です。
この雨戸、通常であれば4枚とも取替えが必要な状態でしたが、
予算を考慮し、取替えはせず、
戸表の地板の塗りを黒漆に仕様変更することで、なんとかカタチにしました。
次に、内部の向板と両脇板。
こちらは漆を塗り替え、金箔を押し替えました。
塗り替えない部分は、掃除を行った後、
拭き取りや磨きこみを行いました。
ツヤの違いを見ていただくと、だいぶ変わるもんでしょ。
鋲を抜いて金具に傷が付かないように外し、磨いた後に金具を打つ。
結構、時間の掛かる作業となります。
あと、下段と〆敷居の塗り替え。
下段は元通り黒でしたが、〆敷居は溜系の色が塗り替えると合いませんので、
〆敷居は黒漆に変更。
比較してみてください。
↓コチラは修理前↓
違和感はもたれないと思います。
黒以外の色漆の場合、色を合わすのは不可能ですので、
今回の場合は、溜漆より、黒漆で仕上げるほうが正解だったと思います。
金具は、雨戸のみ修理を施し、
漆で色を焼付けをし直しました。
障子の紗も張替えです。
最後にご本尊の台座の別台。
この後、黒漆を塗って仕上げました。
こちらは納入後の写真です。
古さと新しさの両面が融合するお仏壇。
全てのお仏壇で、こういった部分修理が該当するわけではございません。
ただし、修理方法は1つではないので、
様々な角度からのご提案が必要であると考えます。
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