日々雑録
仏具修理のハ・ナ・シ9『須弥壇・脇壇の修復④』(全4回)
須弥壇・脇壇の修理も大詰め。
その他の修理についてもご紹介します。
まずは、須弥壇の高欄。
こちらは修理前の写真です。
本体と比べて、漆の塗られた時期が異なるのがわかります。
若葉や受蓮の彫刻を見ると、なんだかボテッと塗り膨れています。
この膨れた感じは少々改善したく思っておりました。
当社の作業場に持ち帰り、塗りの層を確認したところ、
塗りは3層になっていました。
上から塗り替えられること2回。 塗り膨れるのも当然です。
しかも、塗り替えられた際の砥ぎが不完全で、漆の食い付き具合もイマイチ。
この上から漆を塗ったとしても剥離してくる危険性があります。
ということで、古い漆・下地の層を除去することに。
このように木地に戻していきます。
結構、時間のかかる作業です。
彫刻部分も出来る限り、彫りを生かせるように下地を除去してやりました。
若葉、受蓮の彫刻は元は箔押しでしたが、
今回の修理では岩彩色に変更することにしました。
続いて、中尊の花頭窓。
こちらは取り外しが不可のため、塗師さん蠟色師さんの後に、
箔押師さんにも現場で施工をしてもらいました。
脇壇の花頭窓は取り外しが可能でしたので、持ち帰り工房施工となりました。
その花頭窓の下に洗濯板のような連子板が3枚取り付けられていましたが、
それぞれに損傷が確認でき取り替えることなり、
ヒバで新調した連子板を
全体に馴染むように古色で仕上げました。
さて、概ねの施工内容をご紹介をさせて頂きましたので、
では、修復後の写真をご紹介いたします。
まずは、中尊の須弥壇。
左脇壇
右脇壇
左脇壇の花頭窓3枚は、塗り替えて取り付け、
古色を付けた連子も取り付け。
取り替えた感が感じられず全体と馴染みました。
元あった御簾は右脇段共に、透かしの羅網瓔珞に取り替えさせて頂きました。
“銅地 消メッキ 天然石繋ぎ”
御簾ですと閉ざしてしまい圧迫感がありましたが、
この羅網ですと、非常にスッキリし、上品に堂内を演出してくれます。
今回のお仕事は、施工期間約4ヶ月間。
取り付けもスムーズに進み、無事に施工を完了することが出来ました。
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