日々雑録

仏壇修理の話10『初代製作の京仏壇をご修復』

2020/12/12(土) 仏壇修理の話

 

久々の京仏壇の洗い(ご修復)です。

最近は、引き取り(廃棄)が多くて、
その中でも、塗り替えて引き継いでいただけないかなぁ と思うものも少なくありません。

 

処分は、専門性のない仏壇店でもできますが、
今回のような仏壇の修復や、仏像の改造などのご提案は、専門性の高い仏壇店でしかできないと思います。

 

 

では、本題に入ります。

 

今回修復させて頂いた京仏壇はこちら。

円窓障子

通し屋根

欄間、雲鶴の彫刻

浄土型 京仏壇


"板内2尺 前開き 浄土型 通し屋根 円窓障子 欄間雲鶴彫刻"

 

京仏壇の中では定番ではありますが、安定した造りです。

"安定した造り" 

ちょっと上から目線?!というわけではなくて、実はこのお仏壇は祖父である弊社初代が製作したもの。

ですから、弊社ではよく見慣れた形状でもあります。

 

 

 

 

 修復の工程としては、

先ずは、すべてを解体し、飾り金具を取り外し、薬品での洗浄を行います。

仏壇の洗浄、カ性ソーダ


 洗浄が済めば、乾燥させて、一度仏壇を組みなおします。

この段階で、既存の木地を使用するか、取り替えるのか、

漆を新たに塗るのに、支障が出るか出ないか等を判断します。

 

仏壇洗浄、木地仮組み

 

木地の修理が全く要らないことは稀で、

部分的に木地を取り替える必要がある場合が殆ど。

 

扉や平板が反っていたり、捻っていたり。。

これらをそのまま使用すると、最終組み上げる際に支障が出ます。

仏壇 木地修理 取替え

 木地取替

 

 木地修理を終えると、再び組み上げて状態を確認します。

 

問題がなければ、ようやく塗師の手に渡ります。

 

 

 

 

一旦、仏壇本体の修復から離れまして、
こちらの画像をご覧ください。

 

ご本尊 サイズ

 

立派なお木仏(阿弥陀如来像)です。 身丈は1尺。

存在感があって歴史もあるお木仏が、京仏壇に祀られるとよく映えます。

 

ただ、もう少しお顔の位置が低かったらと良いのに・・というのが率直な感想。

 

 ご本尊 阿弥陀如来像

舟形の光背ももう少し見えたら・・とも思います。

 

台座は、仏壇新誂時にもこの仏壇用に低くしたようですが、

台座のバランスは良くはなく、

蓮華(蓮台)に対して反花が大きくて、最下部も定石とは違い違和感がありました。

 

そのような状況でしたので、

台座を部分的に取り換え、格好の良いものとし、

ご本尊のお顔の位置を数センチ下げることをご提案。

ご本尊 高さ調整

 

とはいえ、台座の高さを低くするといっても限度があります。

既存分を出来るだけ生かし、どれだけ高さを低くできるか。。

 

台座を低くする

検討した結果、この高さになるように台座を改造することになりました。

 

台座の改造は、

蓮華と敷茄子の上部2段は再利用。
下地を除去し木地に戻しました。

台座の改造 

 

反花と地擦りの框は、新規に製作し取り替えました。

框は気持ち薄いめです。

台座高さ調整後 

その後、台座を漆箔で、蓮華は彩色及び截金で、

光背は洗浄し、塗り替えず新たに箔押しして仕上げました。

台座自体に違和感なく改造し、お顔の位置を数センチ低くしました。

 

僅かなことですが、これから50年、100年と手を合わされることになるのですから、

こういった機会に直されないと、タイミングはないものと推測します。

 

 

 

さて、お仏壇の修復に戻りますが、

 

下地及び漆塗りの工程が完了すれば、三度仏壇を組み上げます。

仏壇漆塗り後、仮組み

何度も手間がかかりますが、"急がば回れ" です.

この確認が非常に重要なんです。

 

漆が塗りあがれば、

 

蝋色

仏壇、蝋色

 

金箔押し(画像は金粉蒔き)

仏壇、金箔押し、金粉、消粉

 

蒔絵

仏壇蒔絵

 

などの工程を渡り、最後四度めの組み立てとなります。

仏壇 組立て

仏壇 組み上げ

仏壇 仕立て

 

ここで、これまで行ってきた組み上げが生かされ、

もちろん、注意はしないといけませんが、スムーズな組み上げが出来るわけです。

 

 

それでは、お仏壇の修復後です。

まずは各部分からコメント付きでお見せしていきます。

 

"雨戸の蝋色"

蝋色といえど、その程度は様々。

蝋色をすればOKではなく、弊社ではその蝋色の完成度を求めます。

鏡面具合を見ればその程度はわかります。

塗師と蝋色師による技術のたまものです。

仏壇 金具 漆着色

 

 

"欄間の彫刻"

金粉(消粉)蒔き。
金箔と金粉のコントラストにメリハリが出て、その存在感を上げてくれます。

仏壇 欄間 雲に鶴

 

"引出し、引違戸の蒔絵"

京仏壇だけでなく、漆塗りの仏壇の需要が激減していることで

仏壇における蒔絵師の仕事も極端に減っています。

そんななかで、蒔絵師にどうすれば仕事を依頼できるかということも我々の課題です。

蒔絵 仏壇

 

 

"障子の竹屋町唐草"

プリントではなく金糸で刺繍された紗は、仏壇に障子があるべきだと再認識させてくれます。

竹屋町唐草 紗

 

 

 

仏壇 完成 修復後

仏壇 宮殿 須弥壇

仏壇 納品

 

今回のお仕事は、施主さまが谷口謹製のお仏壇ということを覚えておられ、

是非とも弊社で修復してほしいというご依頼でした。

 

まず、長きにわたり仏縁を頂けたことに感謝申し上げます。

お客様が今後も安心して手を合わせて頂けることを願うとともに、

初代から継承するモノづくりに対する思いを改めて気付く貴重な機会にもなりました。

 

 

 

記事一覧

1ページ (全95ページ中)

ページトップへ