日々雑録

仏壇修理の話2『京仏壇(板内2尺)宮殿は洗浄のみ』

2009/11/08(日) 仏壇修理の話




京仏壇のご修復をご拝命いただきました。







板内2尺1寸の浄土真宗、西本願寺派のお仏壇です。



購入されてから40年余り経つものの、

保存状態は良好で、大きな損傷は見受けられません。



ですが、線香や蝋燭の煙による汚れや、





金箔のスレや錺金具の錆など、多少の損傷は見受けられます。



全てを塗り替えるという方法もありましたが、


先に挙げた損傷部のみを直せたら・・・という施主様のご意向により、


仏壇自体は解体して、錺金具も全てを取外しますが、

漆箔部分の全てを塗り替えるのではなく、

洗浄のみの部分と、漆を塗り替える部分を選りながら修理する方法を採りました。




まずは、従来の修理と同じく、解体し、錺金具を取り外して、













漆を塗り替えない部分である、宮殿や格天井、

欄間をはじめとする彫刻部分なんかには、特別工法による洗浄を施しました。









すべてにおいて、この洗浄方法がハマるという訳ではありませんが、


状態の良い漆箔においては効果を発揮します。


アルコールを使用するため、浸透を防ぎ、下地へ悪影響は最小に抑えられます。





汚れを浮かせて、丁寧に拭き取れば、本来の金箔の輝きを取り戻します。

塗り替えない部分については、ひとまず終了。



・・・ですが、当初塗り替えを予定してなかった部分でも、







矧ぎ目が遊離してきたり、









木地が反って、割れが生じたり・・・



そういった部分は、再度接合し直したり、木地を取り替えた後、

漆を塗り替えて、金箔を押し替えます。



今回の場合、他にも宮殿の柱の一部に損傷があり、漆を塗り替えることにしました。

パッと見、状態が良さそうでも、洗浄のみで可能かといえば、なかなかそういう訳にはいきません。





多くの部分は、漆を塗り替えて、蝋色を施し、金箔を押し替え、金具はメッキ替えや色付け替えを施し、

障子も、本金の竹屋町唐草の紗織に張り替えました。









「施主さまのご意向」 と 「損傷具合」 と 「予算」 に応じて、


様々な修理方法がご提示できると考えます。








こちらもご覧を・・・  ブツネタ125 「京仏壇のご修復」





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