日々雑録
ブツネタ426「新作の位牌仕上がりました」
新作の位牌が完成しました。
安価な量産品が氾濫している中で、
あ・え・て
京都で、オリジナルで製作することに意地になっています(笑)
ベースはこちらです。
過去に一度登場しました。
ブツネタ398「シンプルな一重渕位牌」
弊社が永年製作し続けている一重渕位牌をシンプルにしたカタチ。
札の地透き(正面の縁のみ残し中を刳る)と、
脚のカタチが特徴的であります。
元々の一重渕位牌と比べると葺蓮華や反花の彫刻が無くなって、
シンプル過ぎる感もあります。
↓こちらが一重渕位牌↓
彫刻を無くすのは、コストダウンが大きな理由の一つ。
あとは、家具調仏壇の普及により位牌の形状もよりシンプルにした、
といったところでしょうか。
ただ単に簡略化するのでは、
昨今の業界の波にのっているのと同じですので
シンプルでも、ホンモノにこだわり、かつ少し目新しい位牌を製作しました。
木地は先にご紹介した通り、尾州桧を使用。
下地の前に、生漆を摺りこみ木地堅めをしたのちに、
位牌の下地は、
本来文字を彫るために胡粉と膠による下地で製作してきましたが、
今回、堅地(漆と砥の粉)による下地に。
ですので、今回のこの新作位牌に関しては、
文字は彫刻の選択肢がありません。
漆で文字を描きます。金粉の文字となります。
そしてここからが今回の見せ場となります。
黒漆を塗った後に、
朱の漆を塗って・・・
乾燥後に
研ぎ出します。
そう、根来(ねごろ)塗りです。
根来塗りとは、
日本の塗装技法の一種であり、黒漆による下塗りに朱漆塗りを施す漆器である。名称は和歌山県の根来寺に由来する。
一般的に、古い朱漆器では、表面の朱漆が磨滅して、下地に塗られた黒漆が所々露出し、模様のように見えることが多い。これを人為的に再現し、朱漆の中に黒い部分が浮かぶのを、デザインとして見せることも行われている。
(Wikipediaより抜粋)
朱漆を部分的に研ぎ出し、
あとは、通常の蝋色の工程を施し、艶を出します。
その後、面には消粉(純金粉)を蒔き、
足のあげうらには金箔を押して完成です。
根来塗りの位牌?!
違和感を持たれるかたも多いはず。
根来塗り自体がが万人受けしない塗りのように認識しております。
そのなかで、高級感が感じられるのも事実。
大事な方のお位牌だからこそ、量産品ではない、
逸品とよべる位牌をご用意されてもよいのではないでしょうか。