日々雑録
仏像修理の話72『身丈2尺4寸・地蔵菩薩座像の修復③』
2017/01/17(火)
仏像修理の話
前回からの続き・・
驚きの像内納入品と、墨書きが、よりリアルな物語にしてくれました。
仏像の修理を賜った時、納入品はともかく、いつの時代かが判る墨書きを
施主様が期待されるということが多くあります。
割合からすれば、何もないことのほうが多いのが現実です。
木地修理を進める中、
黒く焦げたお地蔵さんを白布に巻き、像内に戻しました。
いつになるかわかりませんが、
また修理の手が入る際、きっと驚かれることと思います。
・・で、こちらが木地修理完了後の写真。
よく彫れたお地蔵さんです。
裳先と底板は桧材で補作。
他は虫食いなど、特別大きな損傷がなかったのは幸いでした。
木地修理完了後は、塗師の手に渡ります。
下地を付ける前に補強のための木地堅め。
一面に和紙を張り、生漆を摺りこみます。
前回の修理でも和紙は一面に張られていましたが、
生漆による木地堅めはされていませんでした。
底には、布を張ります。
座像の場合、最も矧ぎが切れやすいのが、大腿部。
底の布張りは必須になってきます。
この工程が完了して、ようやく下地の工程に移ります。
下地は最も堅牢な漆下地(漆+砥の粉)にて。
塗って乾かし研ぐという工程の繰り返しです。
そして、最終、胡粉白地を塗り、砥ぎ上げて、塗師の工程は完了になります。
台座と光背もありましたが、今回はお地蔵さん本体がメインということで・・。
それでは次回に、完成と納入までをご紹介いたします。
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