日々雑録
ブツネタ482「本漆塗り蒔絵入の過去帳」
2023/06/06(火)
ブツネタ
弊社で定期的に製作している在家用の仏具に、過去帳がございます。
表裏の表紙にオリジナルの蒔絵を描いた、小さくても本格的な過去帳です。
蒔絵入りの過去帳も量産品であるようですが、
弊社製作分は、至極真っ当。
表紙は、片面のみに漆を塗りますので、共芯のシナ合板を使います。
漆を塗り上げて、蝋色で仕上げますが、塗面は片側のみなので、
無垢板を使用すると反りが出るリスクがあります。
ですので、反りが出にくい全ての層がシナの合板を使用しています。
形状は、縁に傾斜を付けています。
傾斜を付けることで、光の当たり具合による塗面の輝き、写りこみが
より高級感を演出することが出来ます。
こちらは、蝋色漆の塗りあがり時。
この後、蝋色師が研ぎ出して、鏡面に仕上げ、
蒔絵師の手に渡ります。
今回の文様は、宝尽くし。
金粉を蒔いたあとに、漆でコーティングする仕上げの平磨きという蒔絵内容。
そして仕上がりがこちらのなります。
表表紙には前面に、裏表紙にはワンポイントの絵を入れて、
あえて傾斜にも絵を入れるのが、さりげない遊び心。
今回のお仕事では、さらに筆耕のご依頼も頂きました。
江戸前期から総勢115名。
筆耕の職人さんに依頼する指示書を作るのも数週間かかりました。
何度見直したことか。。
しかし、圧巻です。
きれいな字、きれいな配置、閉じても、開いても完成度高し☆
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