日々雑録

仏像修理の話81『弘法大師像の復元修理③』

2018/03/03(土) 仏像修理の話





前回からの続き。



前回は、木地修理完了までをご紹介しました。





水に浸し、下地を除去し、解体する作業を経て、

木地修理、接合の工程が完了すれば、

彩色は複雑な模様等がないので、修理工程の3分の2が完了した感じです。


次の工程は塗師の手に渡ります。

彩色で仕上げる前のとても大事な工程になります。


ただ単に、彩色をする前の白地(胡粉地)を塗るというものではなく、



彩色で仕上げるにあたり、よりきれいに仕上がるよう、そして、


後世において、亀裂や剥落が起こりにくくするように手を尽します。





解体した際に、これだけのパーツに分かれました。

中には細かな木片もあります。

こういった木片があるということは、虫食い、摩損、欠損、そういった損傷部に埋め木したり、補作したり、

過去に復元修理が行われたという証になります。


今回の弘法大師像に関わらず、小さな仏像出ない限り、

複数の部材から構成されています。

材質は木です。今回は桧でしたが、材質はともかく木製の場合、



乾燥や湿気により、木が伸縮し、木が呼吸することで、

接合部分から亀裂が生じたり、

さらにはそこから下地の剥落につながったりします。

以下数枚の画像は、それらを防ぐための工程になります。



接合部へ、漆と木粉を混ぜたコクソを充填し、










さらには、その部分に和紙を張り補強をし、

木地堅めと言いますが、木地部分に生漆を摺りこみます。



底部分には、寒冷紗を張り、漆でかためます。

和紙よりも強度があります。



こういった下地前の補強が、非常に大切になってきます。

その後に、胡粉地(胡粉+膠)を塗り、



塗っては研ぐ工程を繰り返します。







木の表面は刃物跡や損傷による多少の段差等もあります。

それらを下地でなだらかに仕上げていきます。


そして、下地の完成がこちらの画像になります。






特筆すべき点がありまして、

このあとすぐに彩色師の手に渡るわけではありません。


塗師さんからお像を受け取って、



私共で必ずやるべきことがあります。


こちらは下地完了時のお顔の拡大画像。



このままでは、彩色師に依頼できません。

木地修理の段階と比較してみると、それが良くわかります。




おわかりになられましたか?



それは目の大きさです。

塗師さんがしたじを塗られることにより、

まぶたがどうしても埋まってしまいます。


ですので、下地が完了した段階で、まぶたの整形手術を行います。

我々は「眼(がん)出し」と言っています。




眼出しをしていない仏像は、目が埋まった感が否めません。

これは漆箔で仕上げる場合でも同じです。




眼出しが完了すれば、いよいよ最終工程の彩色師さんのもとへ。

弘法大師像の場合、持物の五鈷杵がありますので漆箔で仕上げ、

さらには左手には数珠を持たせて、完成になります。









今回のお仕事は、とても立派なお像ですが、

一般在家様がお祀りされている弘法さまでした。

後世に残るお仕事をご拝命頂けたことに感謝いたします。


仏像修理の話38『弘法大師像の復元修理①』
仏像修理の話38『弘法大師像の復元修理②』


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