日々雑録
ブツネタ467「須弥壇の搬入★」
須弥壇の木地が仕上がったのは1年以上前。
コロナ等、想定外の出来事があり、納入が大幅に遅れましたが、
先日無事に納入が完了しましたのでご報告いたします。
今回須弥壇を納めるお堂は特殊で、
地袋タイプの壇上に厨子が安置され、その前にガラスの引違戸がはまる造り。
既存の内陣仏具は他社製なのですが、
この地袋の壇まわりを改築し、須弥壇を置きたいという前住職の強いご意向のもと、
幅10尺5寸の須弥壇を製作することとなりました。
須弥壇設置の前に、まず地袋部分を除去したのち、
壁は板を張り替えて、本金紙張りの施工を行いました。
板張りのあとは、下張りの和紙を張って乾かし、
さらに下張りを張ります。(下張り2回)
そして、正面と側面に本金紙を(天井のみ代用金紙)を張って仕上げました。
これで堂内の準備は整いました。
通常であれば、あとは納入するだけ、なんですが、
今回は頭を悩ます問題がありました。
というのも、今回納入するお堂は2階にあり、さらに本堂ではありません。
搬入の通路は、入口から階段を上がり、本堂の横の廊下を進み、
クランク状になった廊下の先に今回のお堂があります。
わかりにくいですね(汗)
要は、クランク状の通路に、行く手を阻まれたわけです。
・・ということで
特殊足場や重量運搬の際にお願いするスペシャリストに依頼し、
スロープの足場を設置することにしました。
過去にも、2階のお堂に御宮殿や須弥壇をチェーンで吊り上げて搬入したこともありましたが。
今回は約3m20cmの長さ。吊り上げることは危険も生じますので、
このスロープが最も得策だと判断しました。
出来上がったこのスロープ、非常によく出来ていて、
まずは角度。
もちろん緩やかな傾斜が理想ですが、お寺の敷地とは言え、
敷地のスペースにも限度があります。
それを考慮した上での絶妙な角度。
非常に重量のある須弥壇でもなんとか搬入できる角度。
さらに、歩幅に合わせた滑り止めの角材。
この角材があることで、滑るのを防ぎ、また踏ん張ることもできます。
そして、さらに素敵なのが、落下防止用の鋼管手すり。
もちろん落下なんてことはあってはならないことですが、
この手すりがあることで、安心安全に作業ができます。
こういった足場関係、重量運搬関係においては私は専門ではありません。
仏具というあまりにも特殊でデリケートな商品を扱う者からすれば、
信頼のおけるこの道のプロの方が身近にいてくださることは非常に心強いです。
過去には、大寺院の修繕の際に足場を組んで頂いたり、
また、大型仏壇の搬入でもお世話になりました。
さて、話は戻りまして、須弥壇の搬入です。
こちらは須弥壇の地覆(最下部)ですが、見た目以上に重量があります。
天板になると8人掛かりですが
このスロープのおかげで、スムーズに搬入することができました。
仏具の製作において規模が大きくなれば、今回のような事例も想定されます。
仏具が安全なのはもちろん、そして納入に携わる人間が安全であることが求められます。
こういった経験は、非常に勉強になりますので有難いことです。
長くなりましたので、須弥壇の設置完了後は次回に。