日々雑録
ブツネタ415「ホーチミンから胸飾りの依頼」
2018/01/23(火)
ブツネタ
胸飾りのみの依頼を賜りました。
仏像の製作において、
菩薩像や明王像、天部像、如来で言えば大日さんなどには、胸飾りが付きます。
頭に付ける方を宝冠、
胸元に付けるのを胸飾り、と呼んでいます。
こちらは過去に製作した観音・勢至菩薩像の勢至像の写真です。
今回は、胸飾りのみの製作を依頼されました。
胸飾りだけを依頼されるのは記憶にないです。。
㈱京仏商谷口の創業者である祖父は仏師でした。
仏師吉岡宗雲の弟子になります。
その経緯で、弊社は専属の仏師も居り、
仏像関係のお仕事が、非常に多いのは言うまでもありません。
そのようななかで、
仏像の胸飾りのみのお仕事は、意外とありません。
それもそのはず、
今回の依頼は、海を越えて、ベトナムはホーチミンからのご依頼でした。
仏像の製作は地元で並行して製作中。
こちらがその像。
異国の香りがプンプンします。
仏像の雰囲気こそ違いますが、
色々と打ち合わせを重ねる中で、考え方で通じるところも多く、
基本的なスタンスである製作卸(仏具店さまからの依頼)と
大きな違いはないようにも思いました。
見ての通り、肌の露出が少ない衣の着方をされているのと、
予算を考慮して、このような形状の胸飾りをご提案をしました。
苦手な英語は翻訳ソフトを頼って・・。
あちらの仏像には、胸元に卍が入っているものが多いようで、
同じ瓔珞を下げるのでは面白みがないので、
瓔珞に卍を取り入れてみました。それがとても好評のようでした。
そして、
過去に修理した胸飾りの意匠を引用し、法輪を中心に入れました。
全てを手製作。
プレス製作のものではありません。
もちろん、ホーチミンの彼らもそれが前提の話。
繫ぎの玉は、もちろん天然石。
日本では結構、ガラスやPC玉が使われていますが、
天然石が当たり前だろうと。。
その辺りも含めて、納得することが多かったです
完成はこちら。
この卍に関しては、日本ではもちろんご提案しませんが、
あちらの仏像を拝見する中で、
必ずや喜んでくれるだろうというのが、バッチリはまりました。
その後、あちらで製作中の仏像も完成したようで、
仏像に胸飾りを付けた写真が送られてきました。
こちらでいうビンズルさんのような衣の仕上げ方です。
気にしていたサイズもバッチリうまくいきました。
日本でも拝見すると結構、
この瓔珞の長さが長かったり、短かったり気になるのがあります。
木地の時に舟型だった光背が、輪光になっているのが気になりましたが、
非常に楽しいお仕事でした。
ご拝命頂いたことに感謝。 カム、オン☆