日々雑録
ブツネタ345 「新調?いや100%修理です☆」
先だって、経机を持ってご来店頂いたお客様がおられまして、
「さら(新調)にしたほうがいいかしら・・」ともおっしゃったのですが、
ご修復をお勧めさせていただきました。
今回の経机は、貫足型と呼ばれる経机ですが、
ぼく、この机好きです。
シンプルですし、足のラインとか、繊細なところが。
形状は違いますが、量産品に取替えるならば、
3万か4万ほどで買えるのでしょうが、
塗りは漆ではないですし、金箔の質も悪いのはもちろんのこと、
部分的にMDF(繊維板)やプラスチックが使われていたりします。
量産できるように、利口に?大量生産できるようにしてあるわけです。
一方、今回の経机は、
そういった小細工がない木製の漆塗りです。
漆の剥落がありますね。
木は呼吸をしていますから、
1枚板ではなく、複数の部材から作られている場合、
木が動くことで、こういった現象が起こりえます。
裏返せば、木製品ならではなのかもしれません。
もちろん、留めを入れるなどの工夫ををすれば、
こういった現象も100%ではないにしろ防ぐことは可能です。
最近、仏壇の引き取りが増え、中には秀逸なものもございます。
けれど、それが受け継がれることはなく、
残念ながら処分されてしまいます。
大きな仏壇が置けない。
アトツギがおられない。
仕方のないことと思いますが、
出来るだけ、先祖さんが残されたものは、修復をして
次の世代に残していただきたいと・・。
ものを売るだけの仏壇屋なんてどこにでもある。
葬儀屋さんが仏壇を売る時代ですからね。
ものを大事にする、修理して次世代に受け継ぐことを推奨し、
そんな修理が得意な仏具屋でありたいと思います。
話が長くなりました。
まだ修理前の写真です。
先代が接着されたボンドです☆
コレでなんとかバラバラにはならなかったようです。
以下は修復後です。
天場だけ蝋色仕上げにしました。
修復して正解でしたね。
やはり、直して使う価値のある経机でした☆