日々雑録
ブツネタ395「位牌の手彫り文字彫刻」
2016/05/09(月)
ブツネタ
仏師、木地師、彫師、塗師、蝋色師、箔押師、彩色師、截金師、錺師、蒔絵師・・・
京都には沢山の仏具に関する職人さんが居ります。
長年、様々の職人さんとお仕事をさせて頂いてきましたが、
最も陽の当たらない職方だと思うのが、文字彫師さん。
主に位牌の文字を彫られる職人さんです。
朝から晩まで文字を彫っておられます。ただひたすらにです。
近年では機械彫りというのが一般的です。
手彫りの職人さんが僅かですが残る京都でも、
残念ながら機械彫りを提供するお店が増えてしまっています。
機械彫りの字はきれいですが、
字が単調で面白くなく、癖もなく、冷たく感じます。
そして、そこに手間暇が掛かっていないという付加価値がありません。
弊社では文字彫師による手彫りを推奨しています。
そこへのこだわりはどこのお店よりも強いと自負しています。
こちらは寺院用の歴代住職位牌。
明治期に作られたようで、もちろん文字は手彫りです。
今回、新たに追加で文字を彫らせて頂くことになりました。
誤字は当たり前ですが、字の配列や空間にも細心の注意を払い、
文字を彫り上げました。
この後は、文字に色を入れていきます。
この方の文字は性格も出ていて、非常に丁寧な字。
職人によって字の癖がありますが、それは書くのと一緒です。
近年の仏壇や仏具の製作は、
‟コストを安くするため中国でのモノづくり”
‟便時間短縮し便利に機械化”
我々のモノづくりにおいては逆行していきたく思います。