日々雑録
ブツネタ281 「段盛(だんもり)修理完了★」
2012/03/13(火)
ブツネタ
内陣のご本尊廻りでよく見かけるものの、
意外と扱うことが少ない仏具のひとつに段盛(だんもり)があります。
僕自身、今までに段盛を制作したことはありませんが、
思い起こせば、修復も含めてお見積もりさえしたことがないような気がします。
海外製品などの安価品が多く出回っていることが要因のひとつですが、
今回、その段盛を修復させて頂くことになりました。
こちらの段盛は大正時代(大正5年の銘有り)に納められており、
現在一般に流通している物と比べると、断然格好が良いです。
特別珍しいものではないですが、しっかり作られたものが、
お役御免で普及品に替わっていくのが目に浮かびます。
今回もそういった案がございましたが、
こちらを修理して使用して頂くことをお奨めしました。
使用される頻度が多く、また果物等を置かれたりして、
柱がぐらついて不安定だったり、下地の剥落も段盛にはよく見られる光景です。
今回の場合、
木地修理では、虫喰い被害の著しい箇所を交換と、
不安定だった要所のダボを新しく交換。
その後は、漆塗り、金箔押しの工程に廻り、組み立てて完成。
朱漆は少々黒い目にし、箔押し箇所は少々増やしました。
もとが丁寧に作られたものなので、
きっちり直せば、このように重厚な段盛に仕上がりました。
段盛に限らず、良いお仕事がされたものは、
修理を施し、後世に残していきたいものです。