日々雑録
ブツネタ257 「六角型厨子も完成。」
完成ラッシュラッシュラッシュ★
六角型厨子が完成しました。
ブツネタ243 「六角型厨子の制作。」
ブツネタ245 「六角型厨子塗り上がりました。」
塗師さんの工程が完了してから、久々の登場になりました。
漆が塗り上がった後は、
蝋色師さんに渡り、
屋根、胴、扉、地覆の全てに蝋色を施してもらいました。
厨子の大半は、内部を金箔押しで仕上げますが、
今回の厨子は、戸裏も含め内部を全て黒蝋色で仕上げました。
・・・というのにも訳があって、
今回の厨子の戸裏には蒔絵が入るんです。
そもそも、蒔絵が入るならということで、
この六角型の厨子をご提案させて頂きました。
春日型、隅切春日型のお厨子を制作する機会が多い中、
何故に六角型なのか・・。
下の図は、厨子のおおまかな平面図。
上が今回制作した六角型。 下が隅切春日型の厨子です。
緑の線は扉、
赤の線は扉を開けて正面から見たときに見える向板を指します。
六角型は三面鏡のようになっていますから、
扉を開くと、6枚の板が正面から全て見えることになります。
戸裏にはメインとなる絵を描き、
向板3枚にも蒔絵を散らし、図柄が繋がるように絵を表現してみたくて
この六角型の厨子ということなんです。
図案は、
桜&燕 楓&鹿
“春秋”を表現した図案。
ご寺院様にご縁のある桜と楓を取り入れました。
そして完成したのがコチラ。
力作です。
向右には、桜の木に燕二羽が飛び交い、
向左には、せせらぎ近くにある楓の木。その近くに鹿が歩く絵。
非常に趣ある蒔絵が完成しました。
そして、このお厨子には、お木仏が入るのですが、
仏さんを入れるとこうなります。
この阿弥陀さんは、次回ご紹介しますので今回は割愛しますが、
西本願寺派の阿弥陀如来像です。
戸裏に阿弥陀さんの映り込みも良いですね。
もちろん、この厨子の特徴である蕨手も、
全体のバランスも格好良く仕上がりました。
蒔絵も入りますので、黒以外の色漆は多用せず、
極力シンプルに仕上げました。
また、上部の連子枠は、
岩絵の具を厚ぼったくならないように塗り、
枠に取付。 後ろ側は黒蝋色で仕上げています。
ちょっとしたことですが、こういった塗り分けや取付にも大変気を遣います。
最後に、錺金具。
錺金具には模様は彫っていません。
いわゆる魚々子(ななこ)のみ。
魚々子とは、刃が小円となった鏨(たがね)を打ち込み、
金属の表面に細かい粟(あわ)粒をまいたようにみせる技法。
魚の卵をまき散らしたようにみえるので魚々子と呼ばれます。
この魚々子のみの彫りを素魚々子(すななこ)と呼んでいますが、
模様がない分、地味に見えるかもしれませんが、
1粒1粒を打ち込んでいくというかなり手間と技術の要る内容なんです。
あえて、素魚々子。
今回のこの六角型厨子では、とことん拘らせて頂きました。