日々雑録
ブツネタ458「高欄の塗替えと木製仏器台製作」
ちょうど1年前、
阿弥陀如来像の修理と、観音勢至像の新誂の納入をさせて頂きました。
非常に良い納まり具合で、
まだ1年しか経ってはいませんが、
おそらく生涯忘れないであろうお仕事だと思います。
お仏壇は弊社が納めたものではないので、余計なことを申すつもりはなかったのですが、
「高欄が朱塗りだったらもう少しメリハリが付いたかもしれませんね。」
という私の発言をきっかけに、
高欄を朱漆で塗り替えることになりました。
仏壇の塗替えで高欄の下地を除去するなんてことは基本されないと思いますが、
今回は高欄のみの修理ということもあり、
また、私の発言が引き金ということもあり、時間を頂けるということが前提で、
下地除去の上の塗替えをさせて頂きました。
膠による下地でしたら、慣れていますが、
見た感じカシューですから、下地もサフェーサー。。。
そうなると、水に浸けたところで落とすことは不可能。
夜な夜な時間外による、刃物とルーターでの除去作業が始まりました。
仏像や台座などで、直にサフェーサー下地がされているものが、
将来的に修理でやってくることは想定していますが、どうやって除去するのでしょうか。
仏像や台座、仏具の彫刻には、サフェーサーは使わないで欲しいと思います。
修理する側からの切実な願いです。
毎日掛かっているわけではないですし、毎晩2時間程度なので、なかなか進みません。
この段階で預かってから1ヶ月経過しています。
下地除去が完了。2ヶ月かかりましたね。
膠の下地なら、時間外作業でも1/3の期間で十分できたでしょう。
塗師で朱漆塗りに。
擬宝珠と彫刻箇所に金粉蒔き。
高欄のすぐ奥に観音勢至の台座と高欄はメリハリが付きました。
また、仏壇全体で見ても、朱塗りが入ることで締まって見えます。
あと、追加で仏器台も製作させて頂きました。
現代風の仏壇が増えているので、木製で漆塗りの仏器台の製作は稀です。
(木製、溜漆塗り、いかけ粉仕上)
一般ご家庭のお仏壇内を厳かに演出し、
その変化に喜んで頂けることは、非常に有難く励みになります。
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