日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ57『阿弥陀如来像・白蓮華台座修理②』(全3回)
前回からのつづき・・
下地を除去して解体し、木地に戻すところまでご紹介しました。
その後、お木仏は、玉眼を嵌入。
レンズを取付け、
内部から瞳を描き、
綿をあてる。
これが白目の表現になります。
あて木で綿を押さえ、
竹釘で固定。
レンズの丸みとか、
あて木の嵌り具合とか、きっちりとした仕事をされています。
こちらは胴体の内刳り箇所。
墨書きにて記録を残されました。
そして、木地修理が完成です。
台座・光背もこの通りです。
蓮華(蓮弁)は、後の工程で作業がしやすいように、
蓮弁にはダボ式で固定が出来るようにしました。
(矢印の1枚は新調分です。)
その蓮弁は、修復前と同じく白蓮華としますが、
金線は、截金で仕上げます。
蓮肉と蓮弁を胡粉下地。
蓮肉の蕊は、漆を塗り、
金箔押し。
蓮弁には、水晶末を蒔いて、先をピンクに暈かし、截金仕上げ。
続いて、お木仏ですが、
下地を付ける前に、和紙を貼って補強。
胡粉と膠の下地や、
砥の粉と膠の下地を使い分け、
ヘラ付けし、砥石で研いでいきます。
十二分な下地の工程が完了すると、
ようやく漆塗り。
いわゆる肩つぎの阿弥陀さん。
右肩の部分だけは、まだ漆を塗っていません。
接合してからでは、奥まで金箔を押せないので、
このように肩のラインで離して、
内部を先に、箔押しして
固定しちゃうんです。
この後に、右肩の接合部の筋を、
下地で補整して、漆を塗り、全体を箔押し。(肌の部分はさらに金粉を蒔く)
理にかなった方法ですね。
塗師 → 箔押師 → 塗師 → 箔押師
と何度も往復することになり、手間は掛かりますが、
きっちり仕上げるのにはこの方法がベストです。
台座と光背も同様に仕上げ、
次回は、いよいよ修復後をご紹介します。