日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ51『超レアな仏像と盆葺き蓮華座①』(全3回)
非常に珍しい仏さまが当社工房にやってこられました。
座像の阿弥陀如来像。
お身丈は8寸。一般在家のお仏壇に祀られるご本尊としては非常に大きく、
もちろんお仏壇も板内3尺ほどの大きなお仏壇。
ご本尊の第一印象は、
・仏さんと台座、光背の制作時期が違うな。
・仏さんは虫食い被害大丈夫かな。
・台座は、仏壇内に納まらないので、何段かをカットされたんかな。
そして、
・よく出来た仏さんと台座・光背やな。
・もう少し光背が見えたらいいのにな。
その後、仏壇内から仏さんと台座・光背を取り出してみると、
まず、台座の葺蓮華が珍しく・・・。
(葺蓮華の構造)
葺き蓮華の構造の多くは、お椀型の蓮肉に、
蓮弁を1枚1枚葺いていく(固定していく)のですが、
今回の台座は、通称“盆葺き(ぼんぶき)”の構造になっていました。
“盆葺き”とは、楕円の板の円周に蓮弁を固定させ、
その蓮弁の付いたお盆を数段重ねて、
最後に蓮肉の天板を乗せて、葺蓮華を表現する構造。
10枚10枚9枚(3段)の計29枚で蓮弁の数は少なくなりますが、
手間の要る構造になります。
一方、仏さんの方ですが、
過去の修理でか、衣部分が塗り膨れた感がありますが、
均整のとれた阿弥陀さん。
唇下から顎にかけて、傷みが確認できます。
あと、玉眼ではないようです。
この段階では、この阿弥陀さんが特異な造りをしているとはまだ気づかず・・
ですが、触診をしてみると、
上層の漆箔層がフワフワしている感じと、重さがないこと、
あと何ヶ所か虫食い孔が確認できたことから、
虫食い被害が著しく、
下地以下はスポンジ状態になっていると一旦は判断しました。
ですが、後頭部のこの部分。
この亀裂は、今までと少し違う感じ。
損傷部としては最もひどいのがこの部分。
それでも、虫食い被害がかなり著しいものと見解は変えませんでしたが、
その後、仏さんをお引取りし、調べると・・・。
その後、どのように修理していくかは、次回以降にお話いたします。
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修理のハナシ29
『超レアな仏像と盆葺き蓮華座②』
『超レアな仏像と盆葺き蓮華座③』