日々雑録
仏像修理の話64『阿弥陀像の復元修復②』(全2回)
2016/01/14(木)
仏像修理の話
前回からの続きです。
木地修理の完成前に、玉眼の嵌入工程です。
内側からレンズを固定し、
内部より瞳を描きます。
そして、綿を置き木片で押さえ、竹釘で固定。
顔を閉じると。
瞳はやや大きめに。柔和なお顔にしました。
そして、木地修理はこのように仕上がりました。
袖の内部(奥)にも金箔が押せるように、
肩は割ったまま、塗師の工程に入ります。
続いて台座と光背の木地修理後ですが、
雲渦上げの光背は、
やはりとても素晴らしい彫刻でした。
八葉は付け彫りです。
台座の彫刻も、同様に素晴らしく、
鳳凰や梅に鶯の彫刻は付け彫りです。
付け彫り。
八葉はあっさりしてますが、台座のは結構緻密な彫刻です。
蓮弁は不足分は新補し、
金箔押しなので、ダボを設け、箔押してから最終取り付けます。
木地修理後は、塗師の手に渡り、
泥下地(膠+胡粉)の工程を経て、漆を塗り上げます。
阿弥陀さんのほうは、
先に袖の奥に金箔を押し、肩を接合してから、
その接着面をわからぬように下地を補整し仕上げていきます。
京都では‟ヌグイ”とい言ったりしますが、
肌部には金箔を押してから、消粉(純金粉)を蒔きます。
衣の奥まできれいに金箔が入っています。
台座の付け彫りには、淡く彩色を。
こちらの花の彫りにも淡く彩色。
彩色もきれいですが、
見て頂きたいのは緻密な彫刻も最小限度の塗り膨れ。
彫刻を生かすところが、京都の仕事★
そして完成です。
二重地覆には錺金具を誂え、最下框は朱漆塗りとし、
阿弥陀さんの螺髪は鉄紺色で仕上げました。
色々と勉強になるお仕事でした。
ご縁に感謝★