日々雑録
仏具修理のハ・ナ・シ13『文字額の修理』(全1回)
2014/02/23(日)
仏具修理の話
25年ほど前に制作させて頂いた額。
「御祈祷殿」
自動車の祈祷所であるご寺院様。
存在感のある額です。
2尺5寸×2尺2寸の黒漆塗りの地板に、
漆箔の文字を固定しています。
シンプルなつくりですが、
ズシッとくる重量と、高所での作業になるので注意が必要です。
軒があるものの、風雨にさらされるため、
文字の下側は、金箔がだいぶ擦れてしまっていますが、
下地はもちろん硬地ですので、下地の剥落等はなく、ビクともしていません★
良質な尾州桧で制作しておりましたので、
反り止めに入れたこの部分が、若干動いて、
凹凸をフラットにする程度の木地補修で済みました。
同様に、堅地下地を施し、
蝋色漆を塗り上げました。
表面の点々は、文字を取り付けるホゾ穴です。
文字には漆を塗り上げた後に、
摺り上げを施しました。
金箔は2度押しし、
摺り漆も数回行い、
艶を出しすぎない半艶蝋色で仕上げた地板に、文字を取り付けると、
蝋色をどのように仕上げるかが微妙な判断でしたが、
あまりに艶がありすぎると、
天気の良い日には黒の艶が勝ちすぎるのではないかという危惧と、
艶がぼけてきた時の違和感を考え、
半艶での仕上げとしました。
そして、取り付ける金具ですが、
25年前に制作した際は、鉄製で錆がかなり出ていましたので、
・・で今回は、
ステンレスで作り替えました。
右2本は取り付けられていた鉄製。
左2本は作り替えたステンレス製。
色を焼き付けているので見た目にはわかりませんが。
錆びないまでも、
鉄のような錆び方はしないので、より安心です。
もちろん、ビスもステンレスです。
では、取り付け後の写真です。
よみがえりました★