日々雑録
仏具修理のハ・ナ・シ5『木瓜厨子の修復④』(全4回)
2012/09/06(木)
仏具修理の話
1年半ほど更新が出来ていなかった“木瓜厨子の修復”。
長らく時間が空いてしまったのには訳があるんですが、
これまでの分をおさらいして、
『木瓜厨子の修復①』
『木瓜厨子の修復②』
『木瓜厨子の修復③』
大詰めの今回は、完成までをご紹介します。
漆が塗り上がったあとは、蠟色師さんの手に渡り、
外部は“蠟色”、
内部は金箔押しを施すための“すりあげ”を施しました。
蠟色が完了すれば、
厨子内部と一部の彫り物に金箔押し。
修理した金具を厨子に取り付け、
(↑修理前)
(↓修理後)
組み立てれば完成です。
4枚扉の木瓜厨子。
破風屋根が付いて、八双や蝶番の金具も立派です。
そして内部は、
内部の斗組(ますぐみ)、虹梁(こうりょう)、木鼻(きばな)に極彩色。
蟇股(かえるまた)、柱に箔彩色仕上げ。
彫り物も丁寧に彫られてあって、全体的に良く出来た秀作でした。
さて、先に触れましたが、
修理の更新が途絶えていたのには理由がございまして、
この厨子には、ご本尊の阿弥陀如来像が祀られていまして、
今回その阿弥陀如来像及び、両脇の観音・勢至菩薩像のご修復も
ご拝命いただきました。
木瓜厨子で前柱の付くものは、
厨子内部に祀られる台座光背に合わせて、
かなり窮屈に納まるように出来ていることが多く、
その場合は台座を厨子内に納めてから、前柱(虹梁・斗組など)を
固定させないといけません。
斗の凹んでいる部分に金鋲を打って固定。
厨子内に台座を納めて搬入する訳にはいきませんので、
こういった場合は納入先での作業になります。
さて、内部に祀られる阿弥陀如来像のご修復も完了しておりますので、
こちらのほうも、改めて修復工程をご紹介させて頂きます。