日々雑録
ブツネタ496「鬼が宝経を支える立経台」
こちら、今回製作で用意した仏具の製作図面。
浄土真宗本願寺派で使われる立経台(経巻立)。
仏説 無量寿経、上仏説無量寿経、下仏説観無量寿経、仏説阿弥陀経 の4巻を
立てて安置する仏具です。
いわゆる阿弥陀堂型と呼ばれる、螺鈿の装飾が特徴です。
向卓、脇卓、磬台、礼盤の一式とセットでこちらの立経台も作られるのですが、
今回は古くなった立経台のみを作り替えられます。
こちらは製作中の木地。
巻経の直径を確認してから、穴を空けます。
こちらは、木地完成後の写真。
丁寧な仕事がされた木地。
既存の立経台の形状に合わせて製作しています。
ただし、施主様のご意向で、加飾については二点アレンジを加えました。
一つは、
今回の立経台の納まるお寺が、「鬼」に縁のあるお寺というのもあり、
邪鬼が経巻を支えるという姿を表現したく、
邪鬼の木彫を取り付ける。
もう一つは、脚部の青貝の文様を、
一般的な七宝の柄ではなく、宝尽くしの文様に。
・・ということで、下地、中塗りを終えた後、
螺鈿師に貝を依頼し、本体に貼りました。
丁子、隠れ笠、宝珠、宝鍵
分銅、経巻、方勝、隠れ蓑
七宝、宝経、筒守、丁子
七宝、小槌、分銅、軍配、巾着
割付けに悩みながら、宝尽くしの柄は13種。
それ以外の場所は、通常通りの一般的な唐草と七宝柄。
貝を張り終えると、上塗り。
この後は、蝋色で研ぎ出し、貝を出していきます。
そして、貝と並行して、邪鬼の彫刻ですが、
小さな彫刻なので、少しでも強度があるほうが良いので
希少な白檀を使用しました。
彫り上がりがこちら。
折角の白檀なので、置いておきたい気持ちもありましたが、
ここは河島英五さんの歌詞の如く、調和が大切で、(目立たぬように、です)
下地無しの黒漆を塗り重ねで仕上がりです。
2点ダボでしっかり固定します。
本体は蝋色、金箔押の工程を経て、
錺金具をメッキし、本体に取り付けますと完成です。
目立たぬように 遊び心のアレンジ。
本末転倒にならないように
裏側まできっちり蝋色仕上げ。
なかなか楽しいお仕事でした。仏縁に感謝。