日々雑録
ブツネタ494「今年もお地蔵さんの祠製作」
昨年に続き、今年もお地蔵さんの祠のご依頼を頂きました。
昨年の祠は、他に例の少ないものでしたが、
今回のは、いわゆるよく目にするような祠です。
京都の地蔵盆は、無形文化遺産になっていますが、
町内の繋がりが年々希薄になっていて、管理自体が難しくなっているように思います。
今回は町内で管理されているわけではなく、
個人で、傷んだ祠を何とかしたいとご相談頂きました。
こちらが、取替え前の祠。
随分傷んでしまった祠。
おそらく、同様に傷んでしまった祠も沢山存在するのでしょうが、
その多くが手付かずの状態かと思います。
この町には、お花やお水をお供えしたり、お掃除をされる方がいらっしゃる。
何だか、少し安心します。
普通ですと、それだけでも十分なのかもしれませんが、
今回は祠を作り替えたいと。
そんなお気持ちに私共も共感した次第です。
ということで、
お地蔵さんの祠の製作開始です。
材は桧(国産地桧)を使用し、
仏具製作者側からの目線で、仕入れ品ではなく
いつもと同じように丁寧なモノづくり。
木彫刻や、錺金具を取付けることは予算的に出来なかったので、
ポイントとして、透かしの連子窓を2枚入れました。
せめてもの当方の拘りです。
そして屋根は、上品な緩やかな曲面を描き、
内部に多数の根太を入れて、強度は万全。
きっちりとミゾを作って嵌めこみ、
接合部には、留めを入れるなど、
ただの芋付けではなく、丁寧なモノづくり。
屋根には、金物を葺きますが、
生漆を塗って、木地堅め。
そして、屋根葺きです。
希望としては、銅板で葺きたかったのですが、
銅の値段が上がっていて断念。
今回はガルバリウム鋼板を使用しました。
住宅屋根でも多く使用されているガルバリウム鋼板。
耐久性もあり、銅より安価で、祠の屋根にもよく使われています。
銅に比べると、硬くなるため仕事はし難いそうですが、
銅屋根が緑青に変化していくのが、個人的には好みです。
祠は完成し、次は設置となるわけですが、
予算がなく、土台は現状のものをそのまま使用することになりました。
ただし、
土台と言いましても、
奥の方にはブロックが置かれていたり、
石のお地蔵さんが倒れないようにモルタルが盛られていたり、
水平も出ていないというシビアな状態でした。
水平を出すのが難しい環境の為、
祠の底四隅にボルトを入れて、ナットで高さを調整することにしました。
また、そのボルトを通す穴を空け、固定化もできます。
石仏用のモルタルの盛り上がりも
水平を出すには邪魔で、
その盛り上がりを、削ること1時間。
真夏には応えましたが何とか削ることが出来ました。
そしてようやく、かんせいした祠を設置。
設置が完了すると、近所の方も身に来られました。
祠が新しくなったことで、町の方の意識も変わるような。。
そういえば、昨年もお地蔵さんの祠の工事中にも、近所の方によく声をかけて頂きました、
町内の安全を願う、そんなきっかけとなるお地蔵さん。
仏縁に感謝。