日々雑録

【yomoyama⑭ -掛盤膳と掛盤卓-】

2019/04/03(水) yomoyama


先日、洗朱(あらいしゅ)漆塗りの掛盤膳をご注文頂きました。

掛盤膳自体が値が上がっている中、通常よりも割増になる洗朱漆ですが、

時々ご注文いただけます。












この掛盤膳は、平安時代の宮中で使用された台盤という食卓がルーツ。

お膳ですから、そもそもは仏具という括りではないのでしょう。


曲線の脚が外に大きく張り出した掛盤膳は、昇殿を許された者のみ

宮中の宴席で使用されたと言われています。



現在使用されている霊供膳は、樹脂製のものが多いですが、

掛盤膳はいまだに木製品。

当たり前の感がありますが、それだけ現在は、代替品や偽物が蔓延していて、

いずれ、こういった量産品が本物と認識したりしないか懸念します。



高位の方にお出ししていた掛盤膳ですから、

そういった意味では、ご寺院においても、家庭の仏壇でも、

本来は掛盤膳が適当なのかもしれません。



浄土真宗本願寺派(お西)では、掛盤卓という仏具(机)があります。

掛盤の卓と書くので、

あたかも掛盤卓を置く机なのかと思ったりもしましたが、
浄土真宗では、霊供膳は使用しません。いわゆる、経机(経卓)になります。


こちらは、過去に製作させて頂いた掛盤卓。








名前の由来は、足のカタチだけ。。。

しかも下側の脚だけ。。。



下側の脚だけ掛盤卓 なんて言えませんもんね。

腰部分の蓮水彫刻や、鰭(ヒレ)の入子枡彫りのほうに目がいくので、

掛盤的要素は影が薄いのも否めません。


話が脱線しましたが、

掛盤とは、宮中で使われていた台盤がルーツで、

高位の方に掛盤膳で食事が振る舞われたという歴史がある。

今においても、色んな形状の霊供膳があるが、

掛盤膳はその中でも最も高尚である、

ということをお伝えしたかったんです。

最後までお読み頂き有難うございます。








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