日々雑録

仏像修理の話80『弘法大師像の復元修理②』

2018/02/27(火) 仏像修理の話





前回からの続き・・




下地を除去し、木地の状態に戻し解体した状態の画像をご紹介しました。



内部は内刳りされ、空洞化されています。

これは、干割れのリスクを避けるため、あとはお像の軽量化を図れます。




我々修理する者にとって、楽しみの一つであるのが、像内に納入品があるか。


お像自体に墨書きで記録が残されていたり、


内部に記録となるものや願文の書かれたものが出てきたり、




例えるならば、

チョコバットを買って、


ヒットか出るか、ホームランが出るか、ハズレなのか、







まあ、そんな感じです。


近年で言うと、ホームラン級の像内納入品は・・・

仏像修理の話35「身丈2尺4寸・地蔵菩薩座像の修復②」


こちらの投稿でご紹介しています。



今回は、ホームラン球とまではいかないものの、

このような木札が像内に納入されていました。




南無大師遍照金剛



〇〇二世安楽所


裏表に墨書きされた木札が出てきました。


前回修理時に入れられたものでしょう。


信心深さを感じる像内納入品です。




修理を依頼される方にとって、

いつに製作されたか(いつに修理されたか)という年代がわかることは


とても有意義な情報と言えます。



ですから、近年は像内に納入が可能な場合、

修理の場合であっても、像内納入の有無をご確認させて頂いております。


7割以上の方が納入を希望されます。










お寺の場合ですと、

お寺の歴史であったり、修理に至る経緯、

施主様のお名前と願文、そして年月日を記入されます。



そして、今回の修理においても納入品を入れられることとなり、


和紙に、願文、年月日、施主名を記入。



和紙を油紙で包み、

先に納入されていた木札と一緒に巾着に入れ、



像内に納入(固定)しました。




このお像が次回修理される時、

修理者と施主様がきっと驚かれることでしょう。



そんなことで、バラバラになった弘法像が

修理され、接合され、徐々に元の姿カタチに戻っていきます。


お顔は玉眼という顔の内部から、レンズが取り付けられる造りで、


レンズを定位置に置き、



コクソで接着固定し、



レンズの内側から瞳を描き、



綿をかぶせ、



木片と竹釘で固定。





そうすると、正面から見ると、






このようなリアルなお顔にあるわけです。

内側から描いた瞳が、白眼となる綿とレンズによる光の反射により、

より写実的に見えるわけです。



そして、木地修理が完了。





次回は、木地修理~完成までをご紹介します。



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