日々雑録

仏壇修理の話7『京仏壇(板内2尺7寸)部分修理②』(全2回)

2014/03/04(火) 仏壇修理の話

 



さて、前回からの続きです。

部分修理のお仏壇。その各部をご紹介します。




まずは、障子の窓。 七宝透かし箇所です。




欠損箇所を補作。



こう見ると、結構欠けてますね。






この4枚は、全て漆を塗り替えて、金箔を押し替えました。










そして、同じく障子の腰に付く枠。

矧ぎ部分(4隅の接着面)の遊離による漆の剥離が生じていたのは4枚中2枚。




接合し直して、漆塗り、金箔押し。






当初、2枚のみの塗り替え予定でしたが、

残り2枚は磨きこんだのですが、その差は埋まらず、

結果、4枚とも塗り替えることになりました。

やってみないとわからない一例でした。






そして、雨戸です。



この雨戸は、

四方枠は黒、

地板は溜のようにも見えますが、欅の木地蝋色(木目見せ)です。

裏側(戸裏)は、枠が黒で、地板が金箔です。


この雨戸、通常であれば4枚とも取替えが必要な状態でしたが、

予算を考慮し、取替えはせず、

戸表の地板の塗りを黒漆に仕様変更することで、なんとかカタチにしました。






次に、内部の向板と両脇板。











こちらは漆を塗り替え、金箔を押し替えました。












塗り替えない部分は、掃除を行った後、

拭き取りや磨きこみを行いました。











ツヤの違いを見ていただくと、だいぶ変わるもんでしょ。




鋲を抜いて金具に傷が付かないように外し、磨いた後に金具を打つ。

結構、時間の掛かる作業となります。






あと、下段と〆敷居の塗り替え。

下段は元通り黒でしたが、〆敷居は溜系の色が塗り替えると合いませんので、







〆敷居は黒漆に変更。

比較してみてください。


↓コチラは修理前↓



違和感はもたれないと思います。

黒以外の色漆の場合、色を合わすのは不可能ですので、

今回の場合は、溜漆より、黒漆で仕上げるほうが正解だったと思います。





金具は、雨戸のみ修理を施し、






漆で色を焼付けをし直しました。






障子の紗も張替えです。







最後にご本尊の台座の別台。





この後、黒漆を塗って仕上げました。





こちらは納入後の写真です。




古さと新しさの両面が融合するお仏壇。

全てのお仏壇で、こういった部分修理が該当するわけではございません。


ただし、修理方法は1つではないので、

様々な角度からのご提案が必要であると考えます。



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